無神論者にチェックメイトの評価

 皆さん、お久しぶりです。

 ようやく、卒業研究の発表準備が落ち着いて多少、時間が出来ましたので、毎日は難しいかと思いますが、評価を再開していきます。

 ここでは、ふくいけんさん作「無神論者にチェックメイト」の評価をしていきます。


 タイトルを聞いただけだと何の話だ?って思うかと思いますが、ざっくばらんに言うと超能力とギャンブルの話です。

 ゲームで勝敗を決める。ギャンブルとなると、「自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ」とか、丁度ドラマのやってる「ゼロ−一攫千金ゲーム−」とかありますし、話を知らないんですが「賭ケグルイ」なんかもこの系統に該当するのではないかと思います。

 つまり、一部で人気のあるジャンルということですね。


 始まりは「おぉ……」って思いました。

 ラノベではあまり使わない気もしますが、いわゆる語りから始まるパターンです。

 文量はプロローグとエピローグをあわせて全8話。

 話というよりは、作者がサブタイトルに記載している通り章なので、スマホで読むには長すぎるくらいにボリュームがあります。

 私自身、10話までは読みますと言った手前、全部読まないわけにはいかず、86000文字を完全に流し読みですが一時間ほど掛けて読みました。

 元々、賞への応募用に書いたものを公開しているということなので、細かく分かれていないのは仕方ないのかなぁとは思いますが、スマホで読んでる勢としては非常に読みにくい……

 というのも、Kindleの様に読んだところで止めて置けるわけではなく(読み込みとか勝手に入ると先頭に戻ることがある)、どこまで読んだかの目安が付けにくい。

 なぜ、そこに触れるかという話ではありますが、章の中で「●」を使って分割が度々入っています。なら、そこで話数分けてしまえばいいのではないかと思った次第です。

 この程度の修正なら大して時間喰われませんし、賞用のものとWeb小説は分けた方がいいかと。

 設定自体私は面白いなぁと思ったのですが、スマホ勢が最後まで読むかと言えば微妙かなというところです。

 レイアウト一つで印象が変わるかと思うので、気が向いたらやってみて下さい。


 上でも書きましたが設定は好きでした。

 超能力あるあるの代償。

 いや、確かに禁書目録では代償とかありませんが、あれは研究するものですから、一般的イメージに置ける超能力とは別物なのかなって感じです。

 代償が必要となる超能力者と言えば、アニメ「DARKER THAN BLACK」がありますね。

 本作でも代償があったりなかったり。

 使用条件がある。代償があるというのは主人公を窮地に陥れるときや、逆に主人公が相手を窮地に追いやる時に非常に役立つ設定です。

 それこそ「カンピオーネ!」では複数の能力を持っているけども、一日一回しか使えないとかね。

 全体的な文章の印象として、せっかくの設定が流されてる感が否めない。

 この代償がもっと壁になっても良かったなかなぁと思います。

 そうやって、代償を強調した上で最後の主人公の代償に触れるという流れを作ると深みが出るのかなと思ったり。

 今のままでは、「ふーん。主人公の代償はそれか」で終わってしまう気がしますからね。それは勿体ない。


 最後に全体的な構成について。

 まぁ、一気に駆け抜けたなぁという印象です。

 これだけの設定を出すのであれば、一巻分ではなく数巻に渡って十分書けると私は思うんですけどね。

 というのも、唐突な設定が多すぎてご都合展開に見えてしまう。

 特にマリアが娘で――って奴とかね。

 四季が気付いたというのも、都合が良すぎると言うか何と言うか……

 根本否定みたいになってしまいますが、そもそも誘拐事件で面倒事に巻き込まれる必要があったのか?相手も別にマフィアである必要はなかったんじゃないか?と私は思いました。

 そうすれば、マリアと出会うまで、教会の存在から、面倒事に巻き込まれるまでを長々とかつ自然な流れで書き込めたのではないかと思います。

 例えば、来年に映画公開が発表された人気シリーズ「コードギアス反逆のルルーシュ」において、主人公は余計に首を突っ込んだせいでギアスを得て復讐を始めます。

 この場合、超能力を何も考えずに使っていたせいで教会に見つかり、教会の活動に巻き込まれていくなんて方が主流の要素「巻き込まれ系主人公」を作り上げられたのではないかと。

 今回主人公は代償として片方の聴力を失っていますが、主人公が仲間を守るために度々代償を払うなんて流れも長く書けば組み込めます。

 それだけ体を張っても守りたいものがあるという展開はいい主張になります。


 とまぁ、ちょっと珍しく否定的な内容になってしまいましたが、登場するゲームとかはいいなぁと感心していました。

 もしかしたら原型やそもそも同じルールのゲームが存在するのかも知れませんが、こういったギミックを用意するのは私には才能がないということを最近理解したので素直に羨ましいと思いました。


 総評としては器用貧乏。設定が凝ってる割に活かしきれてない印象。

 あと、キャラたちの作り込みももう少し力を入れた方がいいかも知れません。

 なんだか全部自分のことのようで、書いてて怖い評価でした(汗)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る