第110話とうとう慶応の入試がやってきたその2
慶応の商学部と文学部、そして経済学部それに法学部を、それぞれ受けた前夜は、いつも通り寝つきは悪かったが、睡眠薬を追加で飲んだら、そうしたら容易に眠ることが出来た。それなのに慶応SFCの入試前夜だけは、睡眠薬を追加しても、なかなか寝付けなかった。
(なんで……どうして眠れないのよ! 明日は最後の勝負の日なのに……)
そう思ってどうしようもなくなった雪絵は、最終手段である『セロクエル』という薬を六錠飲んだ。この薬は過去の経験からすると、この錠数を飲めば絶対眠れるのであるが、副作用として腸の動きを止めてしまうのが難点であった。しかしここで眠れなければ、明日は実力は発揮出来そうにない。
しかしこの夜だけは、これだけ薬を飲んでも、なかなか寝付けなかった。
するとそうこうしているうちに、雪絵のスマートフォンに、次々とメールが届いた。
メールの送り主は瞳たち五人からで、内容は次のようなものだった。
『死ぬ気で挑みなよ! 絶対死なないから by園里』
『真剣勝負の場では<勝ちたい>という気持ちさえ邪念になる。そういうときは、今までやってきた蓄積を思い出せ! どうせそうは問題の傾向は変わらない by徹也』
『ファイト! by瞳』
『大丈夫。雪絵ちゃんならやれる! by今日子』
『試験を楽しむぐらいの、心の余裕を持って、明日を臨んで下さい by健』
(皆……ありがとう……)
そのメールを見ているうちに、とうとう雪絵は眠りにつくことが出来た。
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