第98話受験用の証明写真

 受験本番のシーズンが近づいた十二月のある日に、雪絵たちが向かったのは、かつて園里も利用したことがあるという、写真館だった。

「さあ、今日は今度は受験用の証明写真を、撮りに行くわよ!」

 園里はそう言って、園里がかつて自分が大学受験をした際に、受験票に貼る写真を撮ってもらった写真館へと、雪絵たちを連れていった。

「ここはプロのカメラマンの方が撮ってくれるのに、料金がとても良心的なのよね。またネガが残っている間は、焼き回しやサイズ変更とか、かなり融通が利くから。あと、デジタルで修正も入れてもらえるからね」

 大学の願書に貼り付ける証明写真であるから、雪絵はスーツ姿で、その写真館へとやってきた。

 写真館へやってきた、久しぶりに会った雪絵を見るなり「表情がまだ硬いね」と瞳が言うが、園里は逆に。

「でもまあ、あれから髪はちゃんとセミロングの長さで整え続けてているから、そこのところは、よろしい!」

 園里が雪絵がちゃんと髪形を整えていることをちゃんと褒める、すると、

「私もそうだったけど、証明写真を撮るときって、どうしても緊張で表情が硬くなっちゃうから、そこのところはプロの方に、修正してもらおうね!」

 と、それを聞いた今日子が言った。

 実際にカメラマンの方に写真を撮ってもらうタイミングで、瞳が、

「ほらユッキーさ、リラックスリラックス! 笑顔笑顔!」

 とは瞳が言うものの、雪絵の表情は、終始どこか固さが残るままだった。

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