第88話年末のコミックマーケットその1

 そして話は瞳と今日子が、それぞれの大学の一年生だったときへと、遡る。

 さて今年も無事に年末を迎えて、今回も東京ビックサイトが、戦場と化す三日間が、いつも通りにやってきた。

 今回瞳は売り子の手伝いとして、今日子にある程度お金を払うから、売り子を手伝ってもらえないかと、瞳は今日子に頼んだ。

 それを聞いた今日子は快く快諾して、午前七時に、りんかい線の国際展示場駅にて、瞳と今日子は、待ち合わせることにした。

 国際展示場駅で、瞳と合流した今日子は、瞳に対して、こう聞いてきた。

「コミケって、ずいぶん朝早くからやるんだね。最初瞳ちゃんから『午前七時に国際展示場駅で待ち合わせね』って言われたときは、ビックリしたよ」

 今日子が言ったその言葉に対して、瞳は、

「これってまだ私たちは出展の側だから、この時間で良いのだけれども、参加者側……特に壁ぎわの人気サークルや、あるいは企業ブースのコミケの限定販売グッズとかを狙って買いに来るとなると、始発じゃ間に合わないぐらいだからね。本当はやっちゃいけないのだけれど、本当に徹夜するしかないぐらいなのだからね」 

 そう瞳は今日子に、返事を返した。

 それを聞いた今日子は改めて、

(ここからは本当に戦場なんだ。意地と意地のぶつかり合いの戦いが、これからはじまるんだ……)

 そう自分に言い聞かせて、身を引き締めた。

 さて出店側のチケットを持って、瞳と今日子は東京ビックサイトの中へと入っていって、十分ほどビックサイトの内部を歩く。するとそうこうしているうちに、瞳が今回出店するブースの机のところに、瞳と今日子の二人は到着した 。

 ブースに到着するなり、瞳は自分のブースの席に、テーブルクロスとスタンドポップを設置する。今日子は瞳に指示された部分だけを、とりあえず瞳と一緒に、手伝った。

 ブースの準備が整い終わると、瞳が今日子に、

「じゃあキョンキョンさ。お願いがあるのだけれども、更衣室に行って、これに着替えてきてくれるかな? 多分サイズは、キョンキョンに合っているとは思うのだけれども……」 

 そう言う瞳は既に『魔法少女まどか☆マギカ』に出てくるキャラクターである『巴マミ』というキャラクターの、コスプレをしていた。

 瞳は今日子が同じく『魔法少女まどか☆マギカ』に出てくるキャラクターである『暁美ほむら』のコスプレに着替えが終わって、瞳のブースに戻ってきた今日子に対して、

「もうちょっと、そうね……。腰ぐらいまで髪の毛の長さがあったら、ベストなのだけれどね」

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