第130話瞳の故郷遠野へその8

 雪絵と園里は「そんなこと知るわけないでしょ!」と言う表情を見せ、あるいは今日子は「そんな細かいこと考えたことないなあ?」とでも言いたそうな表情をしたので、瞳はこう説明を加えた。

「率直に言っちゃうと『河童がいるかどうか』の違いなだけなのよね。河童が住んでいる方を『沼』と言って、河童がいない方を『池』って言うのね。遠野は河童伝説で有名なところだから、そういった豆知識をちょっと知っておくと、遠野をより楽しめる予備知識ね!」

 観光案内のマップには、約二十五分で到着すると書かれていたが、まさしくそのくらいの時間で『カッパ淵』へと四人は到着した。

 実際に『カッパ淵』を目の当たりにした園里は、

「これじゃあ『沼』や、あるいは『池』というよりかは、ごくごく小規模の『川』だよね。それにしても水がきれいな川が、遠野には多いわね。これだけ小規模の川でさえ、これだけ水が澄んでいるのだから」

 すると今度は今日子が、

「あっ、キュウリを垂らしている人がいる! 本当にカッパって、ここにいるのかなあ?」

 と不思議そうに、そう言った。

「キュウリなんか川に垂らしても……カッパなんて実際にいるわけないじゃない……こんなのキュウリの無駄使いよ……」

 雪絵がそう小声で言ったのを、瞳は見逃さなかった。

「おっとユッキー。そんな夢を壊すようなことを言うのは、NGだよ!」

 瞳のその言葉に雪絵は「ごめんなさい」とい言うだけだった。

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