第77話園里の自作パソコンその1
大学に入ってからはじめての夏休みがはじまってから、三日後辺りだったろうか……。今日子から突然に電話があった。
「雪絵ちゃん久しぶり! それでね、なんか園里ちゃんがブルーレイが見れるパソコンが新しく欲しいんだって。それで、雪絵ちゃんのアルバイト先のパソコンショップで、自作のパソコンを組んでもらえないかな? って言われたんだけれど、雪絵ちゃんさ、それってどうかな?」
今日子がそう言うと、雪絵は少し困ったような声で、
「今自作のパソコンを組む醍醐味って……パソコンでゲームする人ぐらいにしか、魅力ってないよ? ブルーレイが観たいのならば……メーカー製のパソコンの方が……動作も安定しているし……」
雪絵がそう返事を返すと、今日子も、
「う~ん園里ちゃんも、それはわかっているみたいなのだけれども、どうしても雪絵ちゃんが働いているお店で買いたいって言ってるし、あと雪絵ちゃんの仕事っぷりも見たいらしくてね」
それを聞いた雪絵は、園里が来るということで、少し憂鬱な気持ちにはなったが、すぐに今日子にこう答えた。
「あっそう……それならば園里の予定の合う日曜日に来たらどうかな? 日曜日ってお店も混むけど……私の担当のフロアはそんなに混まないから……私もゆっくりと対応出来るんじゃないかな?」
「了解。それじゃあ園里ちゃんに予定を聞いてみるね」
そう言って今日子から、
「園里ちゃんの予定の確認が取れたら、また電話で連絡するね」
と言って、今日子からの電話は切れた。
(相変わらず要点簡潔ね……私に対する今日子の電話は……)
中学のときのとある一件から、今日子の雪絵に対しての何かしらの行為は、どこか一歩引いて接しているな……というのは雪絵も感じてはいた。そしてそれはおそらく今日子もわかっているのだろうと思ったが、あえてそれ以上の追及は、雪絵もそしてまた今日子自身も、お互いにしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます