浮き輪とスイカ

@11245

第1話

海辺ではしゃぐポニーテールの彼女は日差しが差し込んでいても気にせず波に乗った海水を跳ねさせる。

俺はそれを受け、止めろとは言うがまんざらでもない顔をし彼女を追いかける。

海がうねり波が胸元まで来て冷たい。しかし嫌な冷たさでなく、夏の暑い日差しを遮ってくれる。

彼女は海で泳ぎたいと浮き輪を取り出す。カナヅチなだけあって用意はしてあった。

海を蹴る姿を後ろから見つめ、海水の表面とともにキラキラと輝いて見えた。

海によって髪の毛が濡れそれが肌に付き、その様子を見るとどこか動悸がするように感じた。

しばらく泳いだ後、海から出ると冷やしていた半分のスイカを互いに口にしてひんやりとしたその感覚が現実味を味あわせてくれた。

夕日が出て、静かに眺めると小さな彼女の口を見つめて合わせる。

そんな1日を過ごし充実した日だと小さく笑った。

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