第6話 夏風邪
「…………。」
えっと…。あれないの?不自然な湯気とか。
乙葉はショックで固まっている。
俺は身体にタオルを巻いていたが、まさか乙葉が産まれたままの姿だなんて思わなかった。
「えっと、ごめん、まさか乙葉が裸やなんて。」
「…………もういいよ。」
「ん?どした?」
「私が悪かったの、だからもう入って来ても良いよ。別に兄妹やし。裸見られたわけやし。」
「えっいいの!?」
「だって…春兄風邪引くし。」
「じゃあ入ろっかな。」
その後の事は、想像にお任せします。
風呂上がり、乙葉は顔を赤くしてボォーとしていた。
「乙葉ー、って顔めっちゃ赤いで!?大丈夫か?」
「……うん。」
「ちょっと、ほら体温計。」
「……なんか今日の服凄いやりにくい。」
「ん?もう、はやくこの服脱ぐ!体温計っといて。やり易いお前の服取ってくるわ。」
「……うん。」
3分後
体温―39.2℃
「はぁ!?39℃!?」
「……すごいね。」
「そんなんいってる場合か!病院行くで!」
「もしもし。」
『あっ春樹君?おひさー。』
「あっ伯母さん、ヤバいねん!乙葉が39℃だした!すぐ車できて病院送って!じゃあね!」
『えっ、あー行くわ。』
伯母さんが暫くして家にきて、後部座席に乙葉を乗せて、その隣に俺が乗る。
結局ぐったりしている。
「どこ行けば良いん?」
「前山クリニックかな。出来るだけ早く。」
俺は伯母さんを物心ついたときから知っている。三十路に入ったが未だに独身。
「ちょっと待ってな。」
そう言って、小さなライトを取り出した。
「喉は…結構腫れてるな。乙葉ちゃん、動くの痛いかな?」
「……うん。」
実は伯母さん、医師免許を持っている。
興味本意でとったそう。
病院に着くと、受付を済ませる。
「すみません、江川です。」
「あっ江川君、今日は?」
「あのー、義妹が39℃出してて。」
「さっ39℃!?分かった、奥のベッドで寝てもらうわ。」
早速乙葉をベッドまで連れていき、ベッドに寝かせた。大量の汗が掻いている。
「…春兄。喉乾いた……。」
「分かった。とりあえず経口補水液買ってくるわ。伯母さんお願い。」
隣の薬局まで走り、光のような速さで乙葉のもとまで走る。
「ほれ、経口補水液。」
「……しんどいし、春兄飲ましてよ。」
「ん。ほら。」
経口補水液のペットボトルの口に、ストローをさす。
「いいなぁ、イチャイチャ。」
伯母さんは面白がるようにこっちを見る。
こんなときにイチャイチャもクソもないわ。
しばらくすると医者が来て、夏風邪と診断された。
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