君がいない世界で君を夢に見た
餡蜜
なぜ彼女は死んだのか
交通量の多い大通りの歩道を歩く少女が一人。横断歩道の近くで車道の方を向かせて手に持った花束を置いた。その前にしゃがみ込んで少女は手を合わせた。
「ごめんなさい……」
その様子を見た信号待ちの中年女性二人が話していた話題を変えた。
「そういやここで女の子が轢かれたのよね?」
「そうそう! 確か女の子が赤信号で渡ってたんだとかなんとか」
「じゃあ自殺ってこと? 嫌だわあ、どうせ死ぬなら人様に迷惑かけないようにして欲しいものだわ」
「ほんとそうよねー。例え急に飛び出してきたとしても悪いとされるのは車だもの」
信号が青に変わる。二人は横断歩道を渡って行き、少女は一人になった。
彼女の濡れた頰を隠すように雨が降り始めた。
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