§6

 一般常識として、木材は燃えるものである。

 燃える建材で作られた建物は、やはり燃える。

 要所要所に防火措置を施せば、それなりに火に強い建物は作れるが、それはやはり鉄筋コンクリート造の建築物と比較できるものにはならない。

 木造建築である以上、火災を防ぐのは難しい。

 長らくそう考えられてきたが、科学技術の進歩は不燃木材と言われる〝燃えない木材〟を生み出すに至った。方式は様々で、難燃塗料を塗るもの、薬品を浸潤させるもの、内側にコンクリートを仕込んだ合板とするもの等々。しかし法令上は、難燃、不燃材料とは指定されておらず、木材であるというだけで不燃材料としては使用できなかった。

 これが法改正によって、不燃性試験、発熱性試験を受けて合格を得れば指定を受けられる形に変更されたのが平成十二年。以後、所定の試験に合格すれば、木材であっても不燃材、難燃材として使用できるようになった。さらに冒頭でも紹介した木材利用促進法により、一定の耐火基準を満たす大型木造建築が認められるようになったのが平成二十二年。

 それらを受けて、小中学校等の公共建築を想定した実大火災実験が企画されるに及んだ。それが冒頭の「木造3階建て学校の実大火災実験」である。

 日本の実大火災実験の歴史は、木造建築物の燃えやすさを検証するために始まり、八十年を経て木造建築の燃え難さを実証するに至った。

 日本は世界で最も多くの実大火災実験を実施している国であるという。今年もまた、日本の何処かで、火災実験が行われることだろう。

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