日和-05 体験日和

「ここが私達の家・・・」

「大きいね」

私はマンションに住んでいるから、1軒家の家に入るのは実家以来だなぁ。


「すぐに作りますね」

「何か手伝おうか?」

「大丈夫ですよ、待っていてもらって」

ほんとすごいな。私が中2の時には料理なんてできなかったよ。今もほとんどというか全くと言ってもいいくらいできないけど。

「お姉ちゃん、夜ご飯はなに?」

「カレーライスだよ」

「やった」

カレーライスの人気ってすごいよな。老若男女問わず皆好きだもんな。カレーライス生み出した人、神かよ。


「すいません、ご飯作っている間、沙侑さゆの相手をしていてくれませんか」

「いいよ」

日和ひよりお姉ちゃん、遊ぼ」

「いいよ、何する?」

小1でもできることで、2人でできることか。

「しりとり分かる?」

「うん」

ま、さすがに分かるよね。

「じゃ、しりとりやろうか」

「うん!」

「私から言うね」

『「しりとり」(←日和)「りんご」(←沙侑) 〜 「つばめ」(←日和)「めだか」(←沙侑)「かめ」(←日和)「メロン」(←沙侑)』

「あっ」

勝った。大人気おとなげなかったかな。

「日和お姉ちゃんはつよいね」

強いって・・・単に小学1年生と高2じゃ、語彙力が違いすぎるから当たり前といえば当たり前なんだけど。沙侑が相手だったし、比較的小学生でも分かるものに限って言ったけど、作品名や、キャラ名、アニソン名がOKなら、一般人でも勝てると思う。


 沙侑とのしりとりが終わってちょっとした頃に沙弥さやが夕食の準備を終えた。

「「「いただきます」」」

やっぱりカレーはおいしい。というか、沙弥、料理上手だろ。高2の私は、料理なんてインスタントのラーメンか、白飯を炊くことぐらいしかできないのに。ってそういやカレー、何ヶ月ぶりに食べただろう。確か、半年以上前に牛丼屋で食べたのが最後だったような。

「これ、おかわりもらってもいい?」

「はい。沢山作っているので、好きなだけ食べてください」

「ありがとう」

やった。許可も得たし、お言葉に甘えて遠慮なく・・・って訳にはいかないよな。あくまでも常識の範囲内で。


「沙侑はいいな、こんな美味しいご飯を毎日食べれるんだもんな」

って、沙侑にとってはこれが当たり前の味なのかな。私はもう最近、まともに自分で料理なんてしてないし、しようとも思わなかったからな。飲食店やコンビニで上等だったからな。

「美味しいだなんてそんな・・・そんなに料理上手じゃないですよ?」

沙弥、嘘だろ。これで料理上手じゃないとか、私ができる料理ってどうなるんだ。



 さて、もうすぐで9時になるし、そろそろ帰らないとね。

「ごちそうさま。ありがとう」

「いやいや、こちらこそ、沙侑の面倒見てくれてありがとうございました」

「また来てくれる・・・?」

「うん、また来るね」



 よし、家についた。さーてPCの電源を入れて、ゲームの準備だ。最近は、音ゲーもよくやっているんだよね。特に、自分で曲を追加できる音ゲーは、よくやってる。やろうと思えば、自分の好きなアニソンを自分で用意するから、譜面が追加されるのを待つこともなくプレイすることができるという、素晴らしいシステムだよ。


 ・・・・・・はーーーー。まさかのOSの大型アップデートがきちゃったよ。今回はどのくらい待たされるんだろうか。

 しかたない、アップデート中、暇だし、ゲームとかのニュースでもゴミホで調べようかな。


 んー、なんかいい情報ないかなー・・・

 ん!?んん!?( 'ω')ファッ!?( 'ω')ファッ!?( 'ω')ファッ!?

「ちょっ、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

おっといけない。思わず声に出ちゃったよ。いや、でも、これは声が出てしまうのはしかたない。待ってました。待ってましたよもう。14年ぶりに私が好きなゲームの公式新作が発売されるかもしれないだと!?まだ、噂程度だけど、信憑性はかなり高い模様と。マジすか。14年前、このゲームは知らなかったけど、このゲームを、知って、クリアしてからの7年間、そのゲームの改造作品をやっていたが、ついに正規の新作がでるのか。いや、まだ噂程度だそうが。楽しみだなぁ。


 新作発表(の噂)が嬉しすぎて、その新作発表(の噂)を知った記事を何回も読み返していたら、OSのアップデートがいつの間にか終わっていた。そして、気がついたらあれから3時間も経っていた。1つの記事なのに、読み返しすぎだろ。



 うわ、もう朝だよ。また学校が始まる・・・あっ、今日は火曜日だ。部活がある!

 なんとか学校についた。いや、寝室に来たとでも言うべきか。

「おはよう、綾乃あやの

「おはよう、日和ひより

「おやすみ、綾乃」

「おやすみ、日r・・・って寝ちゃだめ!ってもう寝ちゃってる。寝付き早すぎでしょ」



-放課後-


「うーん、やーーーっとおわったー!」

 今は、綾乃と部室(コンピューター室)に向かっている。

「そうだ、日和、日和は寝てたから知らないだろうけど、今日は1年生の体験入部の日だからね」

「そうなんだ」

体験入部か、懐かしいな。確か去年、体験入部でコンピュータ部に行って、やってることがあまりにも初歩的なことばかりだったのに驚いたっけ。



「よし、ついた」

よーし、パソコンの電源を入れて、イヤホン装備して、自前のマウス用意してっと。

 今日やることのメインは、ライブ配信ができるのか試してみることだ。動画共有サイトにはアクセスできないけどライブ配信はできるのかな?ってことで、今日試してみる。ちなみに、サイトにはアクセスできないので、ゴミホを使ってライブ配信の準備をするつもりだ。

「えーっと、キーはっと・・・」

普段家でライブ配信の設定をするときには、キーとかはコピーするけど、サイトに行けないから、一文字ずつ入力しなきゃ・・・えーっと、学校のパソコンはスペックが低いから、配信画質は最低にしておかないと。

 さて、できるかな??

-配信開始!-

おっ、できてる!できてる!すごいな。サイトにはアクセスできないけど配信はできるってどうなっているんだろう。



ガラガラガラ

「しっ、失礼します。1年の虹乃にじのみらいと言います」

ん?あ、そういや、体験入部って言ってたっけ。あちゃー、みんなイヤホンしてるから気づいてないや。私もイヤホンしてるけど、ちょうど音が鳴ってないときだったから聞こえたけど。どうしよ、部長に言うか?いや、まぁ、これくらいだったら私にもできるか。


 とりあえず、皆の反応がなく、不安そうに涙目で震えているみらいって子のところに行った。

「体験入部できたの?」

「は、はい。機械が苦手で、テレビの使い方もあんまり分からなくて、ここなら、詳しい人たちがたくさんいると思って来ました」

「そっか、この部活は、基本遊んでいるだけだけど、まぁ、機械にはちょっとは強くなれるかもね。って、この部活に入るにあたっては、多分入部理由なんていらないと思うけど。先輩も後輩もない感じの部活だし、リラックスしていいよ」

こんなことを話していると、綾乃が気づいて、部長に声をかけてくれていた。

「すいません、気づかなくて。えーっと、あなたの名前は?」

「1年の虹乃みらいです」

「みらいさんですね。分かりました。体験入部ですよね?体験入部といってもこの部活では特に何もしてません」

おいおい、部長がそんなこといってもいいのか。ま、事実なんだけど。

「なので、校則の範囲内で、好き勝手に自由にやってもらって大丈夫です」

あーあ、部長がこんなこと言い始めちゃったよ。事実なんだけど。

というか、みらいって子、すごい驚いてる。

「えっと、じゃあ私は何をすれば・・・」

「パソコンの電源をつけて自由にしていていいよ。あ、でも、あんまり騒がないでね」

あらら、困っちゃってる。

「確か、機械に強くなりたいんだよね?私が教えてあげるよ。多分この学校で一番出来ると思うから」

「えっ、部長よりもですか?」

「そうだね。私より日和さんの方が何百倍もできますね。私達が分からないこともやってしまうぐらいですね。私には到底かないっこありません」

「そうなんですか」

「で、では、日和先輩、いろいろなことを教えてください。お願いします」

あれ、そういやこれ体験入部じゃなかったっけ?ま、いっか。

「いいよ、えっと、とりあえずコンピュータ室に入ろうか」

コンピュータ室の中に日和達が、廊下にみらいがいるまんまなんだよな。

「あ、はい。失礼します」

「それじゃあ、日和さん、みらいさんにいろいろと教えてあげてください」

「はい」

久しぶりに綾乃以外の部員と話したな。

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