幻想時空のガーディアン
第1話
好きな人を、仲間を守りたかった。
けれど自分には何の特別な力もなかった。
円は仲間である桐谷を庇って崖下へと落下した。
落下の最中は、崖に当たったりして体中の所々を怪我して、死んだかと思ったのだが、幸運にも円はしななかったらしい。
「目を覚ましたのね」
生きていた。
いや、助けられたのだ。
「私の名前は有栖。崖の下で死んだように倒れてたから拾って来たけど、自殺志願者とか言ってもう一度死に治さないわよね」
自分よりいくつか年下の少女に、どこかの洞窟の中に運ばれていた。
外は戦争になって、大変な事になっている。
だから、だろうか。
有栖が逃げ込んだらしい洞窟は、生活感に満ち溢れていて色々な道具が持ち込まれていた。
その中には医療品などもあったようで、円の体にできた怪我には消毒がされて包帯が巻かれていた。
「雪が……知り合いの男の子がしょっちゅう怪我をするから、得意になったのよ」
だが、有栖はその事を誇るでも何でもなく、淡々と説明する。
円は立ち上がって仲間の元へと行こうとしたが、足を挫いていた為に叶わなかった。
「大人しくなさい、今外には煩い連中がわんさかいるから、この洞窟は出入口は分かりにくくなってるからそう簡単には見つからないわ。せいぜいじっとしてる事ね」
有栖の言う通り、遠くの方からは絶えず物音が響いてくる。
その音で仲間達が危害を加えられていないか、心配で仕方がなかったが、動く事の出来ない円にはどうする事も出来なかった。
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