ピペプ?NO,ペパプ!



「『誰もがみんな英雄ヒーローさ…』」



今日のライブも良い感じ!新曲もお披露目出来たし、お客様に楽しんで貰えたはず!



…ホントは自身持って言いたいわ。

でも、客席を見渡すとたまにあんまり乗って無いお客様がいらっしゃる。

申し訳ない…つまらないのかな?


「お前はいつも辛口評価だな~プリンセス」


「みんなに楽しんで貰え無い状態なんて私達の力不足よ…何かもっと、もっと出来ないかしら…」


「プリンセス、そんなに考えこまない方が良いよ、もしかしたらお客さんはそれで楽しいのかも知れないだろう?」


「でも…」


「みんなシャイなんじゃな~い?モキュモキュ」

「それに、握手会に来て下さる方は皆さん応援して頂けますよ?」

「私のベストを尽くせればあとは結果ですよ、PPPの皆さんはとっても頑張ってらっしゃるじゃないですか!」


みんなはこう言ってくれる…

だけど私達はアイドル、常にトップを目指すのは無理でも、来て貰った人達には楽しんで欲しい…練習量…?何だろう…





「まぁ、世の中にゃ“てんばいやー”って言うけものもいるらしいぜ、あんまり気にしないこったなー?

 さー腹減った…じゃぱりまん♪じゃぱりまーんっとぉ!」


そんな…お客さんを悪く言うのは駄目よ…


私…今どんな顔してるのかしら。




_________________




「いただきまーす…」


最近、シキから教わって自炊を始めた

あいえーちとか、かでん…とか。

わからない事をその都度聞いている。

火がなくてもあったかスープが飲める。


「…寝ようかしら」


私は鏡を覗き込んだ。

鏡に写った私は、プリンセスと言うにはあまりにも暗い表情だった。


「大丈夫よプリンセス、大丈夫よ私…今まで頑張ってきたじゃない!こんな事でヘコんでちゃ務まんないわよ!」


自分を鼓舞したら、何故か目からしょっぱい水が垂れてきた。


最初にアイドルに憧れたときって…

こんな事考えていたかしら…


クチャクチャになった布団を適当に敷き直した。潜った。布団と枕にしっかり染みついた自分の匂いを嗅いだらまた泣けて来た。




______________


















「「「「「PPPを休む!?」」」」」


「そっ…それって!?」


「脱退とかじゃ無いわよ、今まで通り、次のライブが来る時まで時間を置くから、その期間の間ちょっと気分転換するってだけよ。」


数日前、

私はメンバーとマネージャーにこう伝えて、




……このライブで一息つく事にした。





______________





「えぇ…ライブしばらく無いのか…」


僕はステージの看板を見てがっかりした。



僕の名前は、紅学べまな 青光あこう

高校卒業後、親に薦められてやっていた運送会社のアルバイトをそのまま続け正社員雇用された。

ジャパリパークとの出会いも同時期で、それ以来定期的に来ていた。

って流れと会社の事業拡大により、ジャパリパーク支部に転任してきて現在パーク・ワーカーズ在住。

PPPが大好きで、何度もライブに行っている

…のだが、ライブでははしゃぎまくらず、じっくり曲と雰囲気を楽しみたいので、奥の方で大人しく見ている。


そんな大好きなPPPが次のライブまでしばらくの時間があるらしい…


はぁ、

ジェーンさんの彼氏さんとかに会えないかな~…?




「…お?お客さんですかね?」


いきなり声をかけてきた。

「えっ?あっはい!スタッフさんですか?」


「まぁ…そんなとこというか、何というか」

目の前の男性の顔が曇る。


「あっ?お兄さんもファンなんでしょ!?

顔に…そーですね、『フルルLOVE!』って書いてあります、そうでしょう!?」


男性の顔に明かりが灯る。

「あっ?わかっちゃった?アハハ~僕らのラブラブさが滲み出てるのかな…?」


…ごめん、ちょい引くわ。




と思ってたらね?


「ごめーん待ったぁ?」

何とホントにフルルさんきちゃったー!?


「この人ファンらしいよ、良かったねキミ!ホンモノのフルルだよ!うちの奥さん!」


「ほうたひょ~!わたひたてぃ、なかよひぃ…ぎゅれーぴゅきゅん、じゃぱりみゃんもってるぅ~?」


「食べ終わってから喋ろうよ…」


何だろ…伝説のカップルその1を見ているのに、兄妹っぽいというか…?


僕は握手とサインをしてもらって、ステージを後にした。

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