妹好きでも恋はする

矢航

第1話まずは自己紹介といこうか

 俺が妹を好きになったきっかけなんて正直どうでもいいと思うだろ?だって俺もそう思うもん。

 とまぁ、冗談はこの辺にしておくとしよう。

 

 日差しが一気に強くなり、生温いというか暑い風が吹くこの街に、俺は住んでいる。天気予報によれば、昨日梅雨が明けたとの事だった。来週の予報を見れば、30℃を上回る日で大半を占めていた。

 これから更に気温が上がると暑がりな俺は限界を迎え、死んでしまうのではないかと冗談混じりに考える。

 それと同時に、「お兄ちゃん!アイス持ってきたよ」と気温の暑さを心の熱さにしてくれるような、そんな声をかけてくれる妹がいてくれたらなと思うばかりである。


 しかし、現実はとても残酷だ。

 俺、須崎真斗(すざきまさと)には一人の妹がいる。学年が4つ離れていて、俺は今高校二年、妹は中学二年だ。

 妹は極度の男嫌いで、兄貴の俺でさえも軽蔑し、罵り、時には暴力などを振るう。俺は普通に仲良くしたいだけなんだが、向こうはどうもその気ではないらしい……。

 

 だが妹は差別し、心を開こうとしない……。


 俺は中学の頃、社会勉強で世の中にはどんな妹がいるのかなと、ネットで調べた事があった。

 その時、たまたま検索結果に妹物のアニメがヒットし、興味本位で見る事にした。


 気づいたら1話、また1話と続きを見て、社会勉強で見ていたはずが、妹キャラに心を奪われた。

 それからは妹系のアニメ、マンガ、ラノベや、可愛い妹キャラがでる作品を見まくった。


 気づいたら俺は、妹系の虜になり今に至る。


 妹の須崎朱音(すざきあかね)は、かなり昔から男嫌いで、俺が妹好きになった時には、より一層軽蔑の眼差しをした。


 そんなに実の妹から軽蔑されるなんて、お前一体何をしでかしたんだと思った人もいるかもしれない。

 だが、俺は何もしてはいない。暴力を振るわれてもやり返した事もない。妹の暴言がどれだけ理不尽でも、全肯定した。

 

 よく下の兄弟を持つ人は言う…。


 「ーーー(妹or弟)はすぐ親にチクって、自分が怒られる」

 

 これは確かに下の子がズルいと思う。でもなぜこういう事をするかというと、扱いが酷いからだ。

 ちゃんと優しく接し、譲れる物を譲るのは我が儘な子供にとってとても難しい事だと思う。

 でもちゃんと優しく接し、とにかく大事にすれば、自分に素直で優しく育つのだ。

 下の子達は、自分より上の子が少しでも嬉しい事をされると羨ましがってヤキモチをやく。  


 このヤキモチこそがいけないのだ。生まれ持った性格もあるかもしれないが、これをきちんと対処すれば、かわいい兄弟になる。

 

 いきなり話が変わってしまったのだが、これが俺の結論だ。だから妹には絶対手を出さない。俺がこの家にいるだけで、あいつにはストレスを与えているかもしれないが、それ以外で刺激させないようにしている。


 でも俺は茜が嫌いだ。だって俺は何も悪いことしていないから。妹好きだけど、あいつは別だ。

 妹好きと周りに言えば、皆口を揃えて


 「妹いるじゃん!よかったね」


 などと言うが、いればいいっていう問題じゃない。

 肝心なのは、いるかいないかでは無く、癒やされるか、癒やされないかのどっちかなのだ。


 想像してみよう。お化けが出たといって自分の部屋のベッドに寝る可愛い妹。おかえりと出迎えてくれる妹。手作りで料理を作ったり、買い物を手伝ってくれる妹…。


 最高だとは思わないか?俺はこういう妹が欲しかったんだ。


 すごくつまらない自己紹介になったが、俺のことについては何となく知れたのでは無いだろうか?

 



 

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