狂源郷の嫌われた天使
@amaki_sigure0608
プロローグ 狂い始める歯車
2035年、時が経つにつれて化学が進歩していった結果、国のトップは競って最新兵器を量産し地球温暖化や戦争による暑さや食料の枯渇により世界は荒野と化し、平均気温は冬であろうと35℃を上回り、人間たちは各々特殊な施設を作ることで生きながらえていた。後戻りをしようにも戻れない。大地は割れ、誰もがあきらめかけていたその時、世界各地にそれは現れた。暑さを感じていないのか汗も流さず、悠然と宙に浮いている。心なしか背後には神々しい光も見えてくる。そう、それは人間が『天使』と呼ぶ存在だった―
「なーんて、馬鹿げた話だよなぁー」
平日の昼間にも関わらず相変わらず酒場は繁盛している。騒がしい声に声高らかに歌う陽気な旅芸人。ここがつい二十年前まで落ちぶれた人間という種族が身を寄せ合って生きていた場所とは思えない。
「ところで兄ちゃんはどうしてこんな話を聞きに来たんだい?まさかとは思うけどあっちに行く気かい?それはやめときなよ。あそこはいくら命があっても足りやしねえ。あっちに行くための門への道には気色悪い悪魔がうようよいるんだぜぇ?」
わざとらしく語尾を伸ばし忠告してくるこの男はこの酒場の店主。なかなか良い奴だとは思うが語尾がうざい。かれこれ十分ほど話を聞いているのだが、とにかくうざい。もう、なんか顎に棒付きアイスを三本突き刺してやりたいくらいうざい。
だがまぁ、この店主の言っていることは間違ってはいない。それでも、俺は進まなければならない。自由と希望のために。
「別に行こうが行かまいが俺の勝手だろ?いろいろ聞けて良かったよ。ありがとさん。」
くどいかもしれないがこの店主と話しているとほんと腹が立ってくるので用は済んだしさっさと店を出るとしよう。
「おぉ、そうか!頑張れよぉ!次は大人になってから来いよぉ!」
少年は酒場を出て外を見回す。荒廃…というよりもはや崩壊しかけたこの世界に人間は一体あとどのくらい留まっていられるのだろうか。今は天使やら何やらが助けてくれているおかげでかろうじて崩壊は止まっているが、いつ終わりが来るかはわからない。
「よし、いくか…」
少年は歩き出す。
刃渡り30センチほどのシンプルな剣を腰につけ、当時14の少年はこの世界から逃げるように歩き出す。哀れで悲惨でどうしようもない人間を捨て行くように進んでいく。
その先に何が待っているのかも知らないまま―
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