耳障りなアブラゼミ
瓢箪独楽
第1話
――――視界がぼやける。
そろそろ俺の命も尽きるのか。
嗚呼、畜生! ジージー ジージーとうるせーなぁアブラゼミ。
でもまぁ、気持ちもわかる。俺も似たようなもんだからな。
俺も長い間引き籠っていた。外界からの音、光を遮断してずっと。
そんな俺が、日の光浴びようと動きだしたのが丁度一週間前の話。
だから余計にアイツらの気持ちもわかる。
やっと自由に生き始めたってのに、たかだか一週間そこそこでこんな結末かよ。
くそう! ダメだ、もう限界だ! いよいよか。
せめて……せめて最後に精いっぱい声を出して逝こう!
誰に気付かれなくてもいい。 いや、せめて最後くらいは女子に聞いてもらいたい…… なんてな、ははっ。よし、いくぞ――――
ミーンミンミンミン……
そうだよ、俺ぁミンミンゼミだ。悪いか。
耳障りなアブラゼミ 瓢箪独楽 @hyoutangoma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます