耳障りなアブラゼミ

瓢箪独楽

第1話

 ――――視界がぼやける。

 そろそろ俺の命も尽きるのか。

嗚呼、畜生! ジージー ジージーとうるせーなぁアブラゼミ。

 でもまぁ、気持ちもわかる。俺も似たようなもんだからな。


 俺も長い間引き籠っていた。外界からの音、光を遮断してずっと。

そんな俺が、日の光浴びようと動きだしたのが丁度一週間前の話。

 だから余計にアイツらの気持ちもわかる。


 やっと自由に生き始めたってのに、たかだか一週間そこそこでこんな結末かよ。

 くそう! ダメだ、もう限界だ! いよいよか。

 せめて……せめて最後に精いっぱい声を出して逝こう!

 誰に気付かれなくてもいい。 いや、せめて最後くらいは女子に聞いてもらいたい…… なんてな、ははっ。よし、いくぞ――――


 ミーンミンミンミン……


そうだよ、俺ぁミンミンゼミだ。悪いか。

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耳障りなアブラゼミ 瓢箪独楽 @hyoutangoma

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