第一章 5
5
「おーい!アンリー!」
「アンリちゃーん!」
「アンリ殿ー!」
あれからアンリの名前を何回も呼んでいるが、帰ってくるのは森の静寂さだけ。
「まったく……どこに行ったんだ……」
「ね、ねえ。エドワード君。ここらって……」
メディアが“或こと”を思い出したのか、俺に話しかけてきた。
「ああ。多分あの館があるところだ……」
「エドワード、“あの館”ってなんだ?」
自分も話に加わりたいのか、デイビッドが話しかけてきた。
「シロツメ荘のことだよ。聞いたことないか?」
「う~~ん……。ないな……」
まじか。有名な建物なのに。
仕方ないから、俺はシロツメ荘について説明することにした。
「何年前のことだろうか。この森の近くに若い男が住んでいたんだ。ある日、男はいつも通りこの森に入って木を伐採していたらしい。男は森へ、女は川へ行っていた」
「な、なんか桃太郎みたいだな……」
デイビットは俺の話に茶々を入れてきた。
こんな真剣に話をしているのに……。
「もうすぐ日没だ。時間がないから静かにしていてくれ」
俺は改めて説明を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます