2ページ
今日のランチはイタリアンにすることは昨日の朝の水やりのときから決めていた。プチトマトが今日も結構な数を収穫出来そうだったし、バジルが良い感じに育っていたから。さすが、かどわき青果店から貰ったタネ。正確に言えば奥さんが作っている物を分けてもらっただけだけど。
昨日スーパーで買ったのはピザ生地とモッツァレラチーズで、晩酌にはプチトマトとフレッシュバジルのマルゲリータを作った。自分でも驚くくらい美味くて勢いのあまりミケに連絡をしたくらいだ。
だからきっとこの野菜たちのカプレーゼも美味しいに違いないんじゃない? これでチーズまで自家製だったらばっちりなのに。
「チーズってどうやって作るんだっけ?」
原料が牛乳って事しか分からない・・・振り続けていたらチーズになるんだっけ? 作ってみるのも楽しそうだ。
「さー、収穫すっか」
青空にもくもくと入道雲を膨らませて太陽がジリジリと肌に降り注ぐ。どうりで冷房が効かないはずだ。
「はーい、収穫しますよー」
とこちらも百円均一で買った収穫バサミで食べごろのプチトマトをひとつひとつ取り上げていく。
「おー、美味しそう。良く育ったなぁ」
思っていたよりも真っ赤なプチトマトが多くてちょっと嬉しくなる。用意していたボウルが一杯になった。続いて爽やかに揺れるバジルに手を伸ばすと、切ったところから既に美味しそうな匂いが。
「あー、美味そう」
満足いく収穫にちょっと浮き足立ってキッチンへ向かう。
野菜ってすごい。水と肥料をやっただけでこんなにも素敵に育つなんて! 他の野菜を作るのもなんか楽しそうだけど、それよりもまずあの子達をちゃんと育てなくては。
「もっと可愛がってあげなきゃ・・・ん、あれ?」
鼻歌交じりでボウルを作業台に置いてふと気付く。この感じ、なんか知っている。
「・・・母さんかよ」
育てている植物に話しかけているところも、可愛がっているところも、収穫して喜んでいるところも。
「ふぅ」
まぁ仕方ない、親子だし。楽しいに対する対象が似通っていても。
「今度母さんにベランダでも育てやすい野菜は何かって聞かないと」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます