アポカリティックソング

フワッティーゆうと

第1話 平和とは何事もなく、ただ時が過ぎる事。

西暦4443年4月3日今日も今日とて、とても……そう、とても気持ちのいい青空と真っ白に輝いて見える太陽が俺の真っ黒な瞳に映り平和だなぁ〜なんて事を呑気に思っていた。



「ファァア〜よく寝たわー今日は絶好のトレーニング日和だぜ!とりあえず水とエナジバーでも食って学校前に走りに行くか〜」



こんな風に俺は毎朝早起きをして、雨の日以外はランニング専用の道路に走りに行き、雨の日はというとバーチャル空間でオンライン格闘ゲームを日々行ない武道にも勤しんでいる。


そしてそんな事ばかりしているせいか、ある程度の武器など格闘術が一通りは使いこなせる、少しばかり危険な高校1年生なのだ。



「学校だりーな……」



そんな贅沢な文句を垂れながら俺は台所へと向かい、テーブルの上に散らばっているチョコ味のタンパク質たっぷりなエナジバーの袋を、豪快に破り捨て二口程で全て食べその後大量の水をがぶ飲みした。



「ぶはぁっ! チョコ味はやっぱり最高だぜ」



軽食を食べた後俺は、腕に脈拍などを計ったり運動量、体温、発汗量に合わせて水分を取るタイミングを知らせてくれる、デジタルウォッチを付けて時速30キロメートルの化け物じみたスピードで42.195キロを走っていた。


心拍数と脈が上がり血液循環でしっかりと酸素を体へと取り込み、5分ほど経つと呼吸も安定してくる。


そして俺は少し変わっており、その安定する前の少し苦しい所が無性に好きだ、とっても大好きなのだ。


自分自身の肉体が追い込まれて行く事に喜びを、生を感じてしまういわゆるドMである。


ただドMでも痛い事や、怖い事は少しばかり苦手だ。


まぁ〜ドMにも色々な種類があるという事を、心の片隅に置いといてくれ。


そして俺は1時間30分ほど走り、フルマラソンとちょっとの距離を走破し終わると、とりあえず汗を流すために浴室に向かい、冷たい水を体中にぶっかけ奇声を上げていた。



「ひょぉぉぉぉお!! つめてぇ! 火照った体に染みるわー」



疲れ切った顔で言いながら汗を流し、長く伸びている髪の毛を触っていた。



「そろそろ切りに行かねーと、先生にまたガミガミ言われんな……あのババァーうるせーからな」



そんなこんなしているうちに、時刻は午前8時になっており、簡易食料……まぁータンパク質と炭水化物その他もろもろの栄養素をバランス良く摂取する事が出来る、食料をカバンの中に乱暴にぶち込んだ。


因みに勉強道具などは、学校に備え付けられているVR機器とAR機器がメインとなっているため、全く必要ない。


そして俺たちはそのVR機器を使い、その人間の一番向いているであろう分野、もしくわ極めていきたいと思う分野を選び、更にARで己自身の体を使い実技の練習なども行い、各自自由にのびのびと勉強している。


それと多分言わなくてもわかるかも知れないが、俺の勉強している科目はARゲームとVRゲームのプロその他プロスポーツ選手である。


まぁーそんな俺は今日も今日とて、遅刻ギリギリのスリリングな通学を楽しんでいる最中だ。



「ヒャッホーウ! 最高だぜ塀の上を走るのもかなり慣れて来たし、そうだな〜次は手すりでも走ってみるか」



そんな事を呑気に言いながら俺は、塀の上を時速80キロほどで走っている。


勿論近隣の住民から苦情が入らないように音を立てずに、塀を壊さないように駆けている。


今の現時刻をデジタルウォチで確認し、ワクワクが止まらなかった。



「8時29分か……いけるぜ!」



学校までの距離は残り800メートルほど、60秒もあれば時間は余るはずなのだが彼はいつも行く手を阻むもの……そう、彼の担任であり最強の門番である戦場ヶ原雫せんじょうがはらしずくが行く手を阻んで来るせいでいつも8時29分59秒に門をくぐっていた。



「ふふふ、来たようね太陽うずひくん!

今日こそは絶対に遅刻の烙印を押してやるから、覚悟しなさい」



雫先生がそう言いながら、体力のみを削り取る武器、拳銃モードの幻想器レリアを手にもち、容赦なく撃ち込んできた。


因みに幻想器レリアとは形は武器そのものだが、当たっても全く痛覚などはなく、ただどっと疲れてしまうため当たりすぎると死んでしまう、そのため一応取り扱いには免許が必要である。


勿論ARゲームのプロの世界などでも使われている技術であるため、必須科目の中に幻想器レリアの正しい使い方と言う勉学にも励んでいる。


そして目の前にいる貧相な胸をしている、茶髪ゆるふわウェーブのボブカットの女の子……いやクソババァーは幻想器レリアを巧みに使いこなし、俺の右太ももに当てる為にフェイクで一発みぞおちの辺りを撃ち、少し遅れてから俺の左右に一発ずつと、本命である右太ももに一撃打ち込んだ。


だがその全ての銃弾の軌道を予測していた俺は、唯一の逃げ場である場所めがけて大きく跳躍して、前方に1回転くるりと回り、華麗にその全ての銃弾を避けた。


「何すんだよクソババァ! 殺す気かよ! 」



「えー?私が可愛い生徒を殺すわけがないでしょ?

ほらほら見てみ? これ幻想器レリアだから当たっても簡単には死なないわ!」



「そんなの関係ねーよ! 流石にそんだけの弾当たったら今日1日何もできなくなるだろうが!」



「いいじゃない? もしそうなったらしずくちゃんが〜

保健室で1日中良いことし.て.あ.げ.る♡」



「お前はそれでも俺の担任かよ!」



すると雫先生はニヤニヤとしながら答える。



「そうですけど? なにか♡」



そんな先生とのやりとりは内心楽しくて仕方ないが、そんな事に付き合っていると遅刻しかねないので俺は、そのまま幻想器レリアを向けている雫先生に、全開スピードで一瞬で下に潜り込み、流れるように股の間をスライディングしてスカートの中を覗き込んだ。



「ふっ……またつまらぬ物を見てしまった」



雫先生は頬を赤くしながら拳銃の形態から、マシンガンの形態に幻想器レリアを変化させ、怒りながら適当に乱射している。



「こっこらぁー! 女の子のスカート下を潜るなんてしちゃダメだってママに教わらなかったの!

私に謝りなさい、もしくわ大人しくぶち抜かれなさい!」



勿論だがそんな適当に撃たれた銃弾は、一発も当たらず俺は8時29分59秒に校門通過した。



「ミッションコンプリートだ」

俺はドヤ顔でそう言った。



だが次の瞬間俺は腹を押さえて地面に蹲っている……一体なぜ?



「なーにーがーミッションコンプリートよ!

雫先生に謝りなさい変態」



「てってめぇー何しやがんだよ……くそが」



「あらやだ〜口が悪い変態さんはさっさとち◯こちょん切られて死んじゃえばいいのに」



「無茶苦茶言いやがって……」



そんな事を無表情で淡々と話している金髪青眼のハーフの女の子、まぁー俺の幼馴染である如月エレナが強力な正拳突きを門をくぐった瞬間に俺の腹部にぶち込んだせいで、俺は腹を抑えてその場に蹲っていた。


その後エレナと雫先生は俺の事をニコッとしてから、手を掴みそのまま乱暴に1年1組の教室まで、引きずりながら連れて行った。



「くそ……あとで覚えとけよエレナ」



「ふっ戯言言ってんじゃないわよ、雑魚が!

そんな口の聞き方は私に一度でも勝ってからにしなさい? もし次そんな口聞いたら幻想器レリアでち○こモグから♡」



彼女の言動から分かるように、今現在目に見える形では彼女の方が俺より運動センスなどは上であるが、実際の所本気を出してしまうと間違いなく身体能力が上の自分の方が強い。


ただ殺しかねないので、自分が学校にいる間は恐らく本気になることはないだろう。


因みに言うと彼女はARで一度だけ俺に負けているが、その時の記憶がない為負けた事が無いと言っている。


実際は1度俺は勝っている、圧勝っているんだ……。


そしてそれから時間は流れ、何事もなくとても平和的に学校が終わり、俺は幼馴染であるエレナと共にゲームセンターにやって来ていた。



「さー勝負よ太陽うずひ! どっちの方が沢山殺せるか!」



そう言いながら彼女はVRのゾンビハンティングゲームに1コイン入れ、通信バトルモードを選び俺とスコアを競っていたのだった。


彼女のVRにおける腕前は正直自分よりは上である、ARだと身体的機能が上の自分が本気を出せば彼女は勝てないが、VRにおける戦闘では主に動体視力と筋力に関係なく、純粋な運動センスに左右されるからである。


そして俺は負ける事が確定しているゲームだというのにもかかわらず、強い相手と戦っている事に対して胸の高鳴りを感じ、気分は最高潮に上がっている。



「やっぱりエレナはつえーな、最高に燃えてくるぜ」



「ふん、無駄口たたく暇があるんならちゃんと体動かしなさいよ?」



彼女は余裕のある表情で目の前現れる、血を滴り流している艶めかしいCUPゾンビの眉間を鮮やかに撃ち抜き、終いには日本刀を握り、鬼の形相でCUPゾンビの首を跳ね飛ばし、胴を横薙ぎに切断し笑っていた。



「あーあ、神代かみしろ君は本当に弱くてつまらないな!」



彼女はCPUゾンビ殺しに飽きてしまったのか、直接俺に銃弾を撃ち勝負を決めに来た。


このゾンビイーターというVRゲームではスコアが1万点以上の差が開くと、敵プレイヤーを殺して決着がつくゲームなのである。


そして勿論俺はその銃弾を華麗に避け、ゾンビを倒し彼女とのスコアを縮めていくが、またすぐに1万点以上の差がつき狙われてしまっていた。



「くそ、こんなに力の差があんのかよ」



「当たり前でしょ? 神城君がこのエレナ様に勝てると思ってた? 無理に決まってんでしょーが!あはっ♡

これでじゃー詰めにしてあげる!」



彼女は興奮気味に右太腿のホルスターから、デザートイーグルを抜き2丁構えで的確に俺の左右に少しだけズレを入れ1発ずつと、胴体に1発、眉間に2発、右太もも左太腿に1発に、下腹部に4発……そしてトドメにさらに左右大外に4発をまばらに撃ちこみ笑いながら言った。



「ジ・エンド♡」



「そんなの、反則だろ!」



そして次の瞬間俺は成すすべなく、見事に風穴だらの蜂の巣状態になり、スコアに100万以上の差をつけられ目も当てられないレベルに惨敗していた。


ゲームは終了し、俺の意識はVR世界から現実世界に戻ってき、VRヘッドギアを頭から外すと目の前には口を押さえて笑いを堪えている、エレナが目の前にいた。



「ちょっ、ちょっとあんた弱すぎなんだけど、ブフォ! ご、ごめ……ぶふっ、あっやっぱ無理だわ、あは、あははははは、あっーはっはっはっは!」



「くそ、笑いすぎだぞ……VRじゃ俺より強いからって調子に乗りやがって」



太陽うずひは何を言ってるのかな?

ARでもあなたの方が下でしょ? 私に1度も勝ったことないくせに!」



「お前ん中ではそうかもな……」



すると彼女は少しムスッとした表情をして言った?



「なにさー喧嘩うってるの? 雑魚太陽うずひの癖に」



「うってねーよ、そろそろ帰ろうぜ6時だし」



すると彼女は何かを咄嗟に思い出したように、わざとらしく長くてふわふわした金髪を揺らしながら言った。



「罰ゲームを忘れるとこだった! 危ない危ない♡

さぁーって何にしようかな? ふふふ」



「って! そんな事やる前に一言も言ってなかったろうが! きたねーぞエレナ!」



「えー? きっこえませーん♡

んーどうしようか……そうだなーよし、決めた」



彼女がそういうと、俺にしゃがむように命令しそのまま俺の背中に被さり全体重を、俺に預けたのだった。



「んー? エレナさんやコレはなんぞ?」



「分からないのかい太陽うずひ

おんぶだよ?JKの生脚触れて嬉しいんでしょ?

あと重いとか言ったらち◯こモグから」



そして俺は黒タイツ越しではあるが、エレナの生暖かい太ももを両手に少しばかり興奮し、更には背中に当たっている柔らかな物の正体に気付き戦慄していた。



「こっこれはまさか! たわわに揺れ動く2つの伝説の果実では!」



そんな事を心の中で思いニヤついていると、彼女は何か察したのか、少し頬を赤らめ耳元で囁いた。



「あんまり意識してたら本当にち◯こもぐからね

わかったらさっさと賢者になって歩く……」



そう言われたものの俺の聖剣は思春期的な反応を抑えずにはいられず、ズボンには立派なピラミッドが……とても大事な事なのでもう一度言う、とてもとても立派なピラミッドが出来上がっていた!


そしてその立派なピラミッドを目にした彼女は、可愛らしい声で言った。



太陽うずひのエッチ……明日の実技で絶対にもいでやるから、精精それまで大事にする事ね」



とても理不尽ではあるが、俺は今この状況を存分に楽しみ、明日の事は明日になってから考えようとそんな事を思いながらゆっくりと歩き太腿と2つの果実の感触を存分に楽しんだ。


これは一体全体罰ゲームなのかと言う疑問が頭に浮かんだが、俺が出した結論的にはご馳走様ですありがとうございます的な展開であったため、彼女の自宅前に着き降ろした後に、一礼して拝みながら言った。



「ごちそうさまでした」



「何がごちそうさまよ……本当に明日覚えておきなさい」



その後俺は自宅に帰る途中、スーパーに寄り1週間分程の食料と、1ヶ月分の簡易食料を買い足し家に帰った。


そして俺はいつも通りに右ポケットにしまってある自宅の鍵をとり、鍵穴に差し込み「かちゃっ」と音を立て、近所の方に響かないようにゆっくりと扉を開け、家の中に入るとご機嫌に有名シンガーソングライターである、小鳥遊希たかなしのぞみの超人気曲Heartを鼻歌混じりに歌い、そのままシャワーを浴びたのだった。



「あぁー今日の晩ご飯は何にすっかなー、そうだなーカレーのルーと野菜も余ってるし肉も今日買ったし、カレーしかねーな」



そんな事をぶつくさと言いながら、ささっと体と頭を洗い、肌の健康の為に超ブルブル潤いパックを顔面につけながら髪の毛を乾かし、乾かし終わると俺はキッチンに向かい細かくリズミカル野菜を刻みながらHeartを歌い、ささっと調理を済ませた。



「はぁー最高に美味そうなカレーができちまった……

スパイスの配合と火入れに、入れた野菜と肉が最高のハーモニーを奏でてるぜ!」



俺はそのまま最高の出来栄えのカレーを口へと運び目を大きく開け、その後頬を緩ませとてもだらしない顔になっていた。



「たったまんねー、肉の旨味に野菜の甘さが口の中でパレードを起こしてやがる……それにスパイスのいい香りが鼻から抜ける感じ! 米が止まらなくなっちまう」



そしてその後俺は5合炊いていたご飯を一人で全て平らげ、一服する為にコーラとジャンクフード、それとタオルケットを手にテレビを付けた。



「なんかおもしれー番組ねーかな……なかったら録画してたアニメか、格闘技かゲームのプロ番組でも見るかー」



そう言いながら俺はタオルケットにくるまり、リモコンをぴこぴこと操作しながらいろいろ観ていると、少しばかり興味があるオカルト番組で手が止まった。


テレビに出ている胡散臭おじさんである坂上達也胡散臭いおっさんが、何やら明日起こるであろうと予言されている終末が始まる日アポカリプスデイについての事を話していた。



「どうもー坂上達也です〜いやぁー明日は怖いね?

ほんまに怖いわー、年数もすごい不気味な数字やし絶対くるで〜アポカリプスデイ終末が始まる日

で、そんな世界が滅びてまう前にあなたのやりたい事ランキングってのをロケに行って若い子達に聞いてきたからどうぞ御覧あれや!」



そう言うと映像は切り替わり、ロケ地である大阪梅田の大阪駅の辺りで、JKやら男子高校生、はたまた20〜30代くらいの若い子たちはやりたい事などをペチャクチャと言っていた。


好きな人に告白したいとか、家族と一緒にいたいやら、恋人と一緒にいたい、寝ていたい、現実から目を離したい、自殺したいやら、大犯罪を犯したいなどとぬかすキチガイなどもおり、世の中は中々に恐ろしいものだなと俺は思いながらテレビを眺めていた。


因みにもし明日4444年4月4日にアポカリプスデイが来るのなら、俺がやりたいことはそんな世界を救って英雄になること。


まぁーそんな事絶対に起こるわけが無いと思いながら俺はボリボリとポテチやらクッキー、カリントウに芋ケンピを食べながら呑気にコーラを飲んでいた。



「はぁー至福のひとときだぜ……世界なんて滅びる訳ねーのに、本当にこのおっさん胡散臭いぜ、てかもう飽きたし歯磨きしてトイレして寝よっと」



そして俺は洗面台に置いてある歯ブラシを手に、歯磨き粉を少しつけて10分ほど磨きツッルツルのピッカピカに磨き上げ、アラームをセットしてフカフカなベッドに体を預けたのだった。



「ふかふかで気持ちいいーすぐ寝れ……」



そしてそのまま俺は夢の中に落ちた……とても深い夢の中に飲み込まれていく、時刻は現在4444年4月4日0時0分00秒その時俺は夢の中である1人の同年代ぐらいであろう少女と出逢った。



「やっと会えたね……神代太陽かみしろうずひ



そして全てはここから始まったのだった。

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