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 さなぎは、手でシッシッと追い払う仕草まで加えて、男をこの場から去らせようとする。

 男は、困った顔をして、「違うんです! 話を聞いて」と、さなぎに言う。

「何が違うって言うんですか? 止めても無駄ですよ! 私が今日死ぬことは、運命なんです!」

「止めませんよ。大丈夫ですから。ほら、これを見て下さい」

 男は、背中に背負ったリュックを、前にぐるりと回し、中を開くと、手探りで目的の物を探す。

 その様子を、さなぎは、眉を寄せて眺めている。

「あった!」

 男は明るい声で言って、リュックから、手を出した。

 その手に掴まれている物を見て、さなぎは、目を見開く。

 ロープだ。

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