第2節 成功したら俺の童貞もやるぞ?
昨日、枕に付着していた長い髪の毛を見た龍崎は、
「葵を涼香に相談させればいいじゃん。あいつ勉強もできるし」
と考え、涼香へ電話をかけてから「葵の悩みは受験絡み」と簡単に伝えた。
「……ってわけだ。すまんがちょっと協力してくれ」
『いいわ、協力してあげる。私の犬被りはこういうときのタメにあるだから。もう、まったく、完全に、任せてもらって問題ないわ』
と、涼香の自身たっぷりに答える。だからこそ龍崎は一抹の不安を覚えた。大切なときに必ずしでかす女。それが浮舟涼香である。こんなわかりやすいフリをして、なにも無かった試しはなにもないのであると。
『なあ浮舟。頼むから、明日だけはアホになるなよ。どうしようもないかもしれないけど、どうにかしてくれ』
『問題ないわ。それに言っているでしょう? あれも私の可愛いポイントなのだから。そうね……もし私がなにかしでかしたときは私の処女をヒュドラ君にあげましょう。そのくらい信じてくれもいいわ』
『あー、もう、もう……なんでもいいわ。お前の貞操観念の低さはどうでもいいわ。じゃあなんだ? 成功したら俺の童貞もやるぞ?』
『……キモ^^』
そして龍崎は、
「浮舟のヤツが妹の誕生日にプレゼントを送りたいんだと。でも、なにがいいか分からないらから、歳が近い葵に協力して欲しいって。あ、そうだ兄ちゃん、バイト代が入ったんだ。小遣いやるぞホレホレ」
という嘘を作り出し、葵を東深津駅に呼び出したのだ。ただし小遣いをやったのは事実。
その結果として、龍崎と涼香と葵は東深津駅に集合し、お買い物をすることになったのである。
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