第2話 犬も猫もスキです

 僕は村の近くの川で釣りをしていた。

 この川は草原の中腹、森と村の間にある。

 初夏の今の季節は腰くらいの深さで流れも緩やかだ。


 竿の先の浮きが沈んだ瞬間にクィと合わせて引き寄せる。

 釣りあげた魚はぴちぴちと陽の光に反射する。


 「今日は大量だ!」


 釣った魚をパチパチと焼きながら、釣りを楽しんでいると。


 水面に巨大な影が現れてこちらに近づいてくる。


 ザバァッ!!!


 「ファングゲーター?!」


 陸に上がった、巨大な口を持つワニが巨体に似合わない速度で近づいてくる。


 全速力で逃げればなんとかなるかな…落ち着け…。僕のスキル!超異次元召喚なら何とかなる!


 スキル!≪超異次元召喚≫


 ・MP10% タマポチ 使用可能

 ・MP20% ギアメカ 近距離のため使用不可

 ・MP30% アブソルブ 近距離のため使用不可

 ・MP40% アドミン 条件不適合のため使用不可


 タマポチ!!!


 ビシィビシィビシィビシィビシィビシィ…


 頭上の空間が大きくひび割れていき、猫と犬が飛び出してファングゲーターに攻撃する。


    テシ 

 テシ     テシ

 ワンワン!!にゃんにゃん!!

 テシ  テシ  テシ


 7ダメージ!

 5ダメージ!

 8ダメージ!

 2ダメージ!

 4ダメージ!

 2ダメージ!


 トータル 6ヒット 28ダメージ

 付属効果で攻撃力弱体90%

 ファングゲーター HP107→79


 えっ?!昨日、凄いダメージ与えたから一番低いのでも大丈夫かと…!!!


 ファングゲーターは巨大な口を開いて、突進してきた速度そのままに僕の左腕に噛みつく。


 スキル!≪嚙み砕き≫


 うわぁ!!!腕が腕が!!!


 4ダメージ!

 ニカ HP72→68


 思いっきり振りほどくと、ファングゲーターの口はあっさり外れる。


 猫と犬がファングゲーターに攻撃する。


    テシ 

 テシ     テシ

 ワンワン!!にゃんにゃん!!

 テシ  テシ  テシ


 6ダメージ!

 7ダメージ!

 8ダメージ!

 3ダメージ!

 4ダメージ!

 2ダメージ!


 トータル 6ヒット 30ダメージ

 付属効果で攻撃力弱体90%→トータル99%

 ファングゲーター HP79→49


 ファングゲーターは巨大な口を開いて、また直ぐに僕の左腕に噛みつく。


 スキル!≪嚙み砕き≫


 うわぁ!!!


 1ダメージ!

 ニカ HP68→67


 え?!全然痛くない!!


 腰の短剣を抜き、攻撃する。


 スキル!≪クイックソード≫

 13ダメージ!

 12ダメージ!


 トータル 2ヒット 25ダメージ

 ファングゲーター HP49→24


 猫と犬がファングゲーターに攻撃する。


    テシ 

 テシ     テシ

 ワンワン!!にゃんにゃん!!

 テシ  テシ  テシ


 9ダメージ!

 9ダメージ!

 8ダメージ!

 5ダメージ! オーバーキル!

 5ダメージ! オーバーキル!

 4ダメージ! オーバーキル!


 トータル 6ヒット 40ダメージ

 攻撃力弱体90%→トータル99% オーバーダウン!

 ファングゲーター HP24→0


 ―― 1体のファングゲーターを倒した。

 ―― 超異次元召喚魔法Lv1 9/10


 犬と猫が僕の周りを駆けずり回る。

 「ありがとう!助かったよ!焼き魚あげるね!もってって!」


 猫舌?だといけないから串の部分を噛ませて2匹に渡してあげたら、しっぽをブンブン振りまわしたり、ピーンと立てて喜んだりと異次元へと帰っていった。



 その日の夕食でとうさんとかーさんに今日あったことを話した。


 「僕、今日、(ファングゲーターに)噛まれたんだけど痛くなかったんだよ!」

 もぐもぐ

 「まぁ!(ヘビに)噛まれたのかい。」

 「(ヘビには毒があるかもしれないから)気を付けるんだぞ。」

 「もう、あんな思いしたくないから、噛まれないよ!」

 もぐもぐ

 「そうね。そうしなさい。」


 ――タマポチ

  超異次元の門番

   ワンにゃんフェスティバル

    短距離の単体に6回ダメージを与え、付属効果で直接的な攻撃力を90%弱体させる。弱体化は無制限に上乗せされる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る