第4話 初体験
俺は教室に戻りチャイムが鳴るのを待つ。
先生が教室に入ってくるとそれぞれ話していた生徒は次々と自分の席に座り始める。
そして授業の開始のチャイムがなると先生が教卓に手を置き話を始める。
「じゃあ始めるぞ」
その合図とともに教室内が静寂に包まれた。
手にチョークを持ち黒板に何かを書き出した。
「朝のホームルームは時間がなくて言えなかったが、このクラスを担当することになった高柳 祐介(たかやなぎ ゆうすけ)だ一年間よろしく」
自分の名前を言い終えると次はチョークで生徒を指し自己紹介するように促す。
「じゃあ君から自己紹介をお願いね」
そう言われると先頭の生徒は嫌な顔もせずに席を立ち身体の向きを変えて自己紹介を始める。
(嫌だな)
そう思っているうちにすぐに自分の番がきた。
少し緊張したが淡々と席を立ち自己紹介を始める。
「えっと二番の愛樫 瑠璃です。よろしくお願いします」
(これでいいのか?)
これでいいかと聞くかのように視線を先生に向けたがすごい目つきでこちらを見つめていたが気にせず座る。
するとどこからか視線を感じた。
(見つめてくるのは自己紹介してる時だけでいい)
そう思いながらもじっと見つめてくるそう彼女の名前はカレン。
ずっとおれの本名を知りたがってた奴だ。
俺は首で前を向くように指示を出すが彼女は気づいていない、その瞬間黒板を叩いた音が聞こえた。
「谷川さん! あなたの番ですよ?」
こちらにばかり目がいってた彼女は自分の番が来ているのを気付かず名前を呼ばれているのも気づかないでいてとうとう先生に怒られた。
名前を呼ばれた彼女は反射で直ぐに立ち上がり自己紹介を始める。
「あっ! 谷川 明日香です! よろしくお願いします!」
そう言い直ぐに座ると顔を隠すように下を向いている。
その後順調に自己紹介が終わり一限目が終わった。
---
(二限目は入学式か、どんなことするんだろうか)
そう思いながら歩いていると後ろから名前を呼ばれた。
「瑠璃!」
振り返らなくてもわかる奴だ。
聞こえてないふりをし体育館に向かうがそれに気づき次は俺の前で足を止めて大きな声で名前をいう。
「瑠璃!」
廊下中に俺の名前が響き渡ったが心配する必要はない、俺は彼女が前に来るのが分かっていたから前に来る瞬間横に移動し彼女は俺ではなく全く別の生徒の前で瑠璃と大声で叫んでいた。
それに気づいた彼女は頰を赤くし何事もなかったかのように体育館に歩きだした。
---
体育館に着くとそこには在校生が先に座っていた。
おそらく右から三年、二年という順に座っている左が一年が座るところだろう、俺は自分が並ぶべき場所に向かうと再び彼女がやって来た。
「ちょっと! あんた!」
そういうも周りにいた先生に注意されまたもや難を逃れた。
(この辺でいいか)
出席番号が二番だから座るところは前が普通だろう、と思い在校生の先頭に合わすように座ると一番の生徒がやってきて少しだけ後ろに下がった。
そして周りの生徒が座っているのを確認し前に先生がマイクを持ち出てきた。
「えっとでは今から入学式を始めます、起立!」
周りは分かっていたのか直ぐに立ち上がったが俺は立つことが予想できず立ち遅れたが何も言われなくてよかった。
「礼」
全員頭を下がったのを確認してなおれの合図を出す。
「着席」
みんなが座ると舞台から校長が出てきた。
「では校長先生からお話があります」
そう言いマイクを校長に渡した。
マイクを手に持ち一歩前に足を出し話し始める。
「新入生のみなさんご入学おめでとうございます」
この言葉からおそらく十分くらい経っただろうか? なかなか話が終わらない。
「三年間はあっという間に終わりますので一日一日無駄なく過ごしてください」
その言葉とともに口からマイクを外しやっと長い話が終わる。
校長が司会の先生に合図を出すとマイクを手渡し進行する。
「礼、ではこれで入学式は終わりです今から言う学年から教室へ戻って担任の先生の指示に従ってください」
俺が思っていた式は何時間もかかると思っていたがそうあっさり終わるとなんというか味気ないな。
そう考えているうちに司会の先生が指示を出す。
「では最初は一年生からどうぞ」
生徒は立ち上がり先生の誘導により教室へ戻る。
白と黒の記憶 消えない過去 @ru1RurU
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