第2話初日早々
彼女の声が後ろから聞こえる。
「待ってよ!」
その声と同時に足音がどんどん近くなってくる。
追いつかれまいと俺は少し歩くスピードも速くして教室に向かう。
だがすぐに追いつかれてしまう。
「待ってってば!」
今度は肩を強く掴まれたが彼女の手を払おうとすると息苦しそうに言ってきた。
「行き過ぎだって! 教室通り過ぎたよ?」
そう言われて手を払うのをやめ振り返ると次は手を握って歩き出した。
「私教室知ってるから!」
手を引っ張られながら歩いていると先程まで廊下で談笑していた生徒がいなくなっていた。
(と、いうことは)
そう思いながら廊下を見渡しているとチャイムが鳴る。
先程まで手を引っ張られていたがチャイムが鳴ることにより俺の手を離し置いて行くかのように走り出した。
(俺も走るか)
彼女を追いかけるように走り彼女が入った教室に入る。
するとそこには先生と生徒が座っていて立ってたのは俺と彼女だけだ。
周りの生徒は俺たちが走って教室に入ってきたことによりこちらに注目している。
彼女がおどおどとしている間に俺は何事もなく自分の席であろう場所に座る。
「初日から遅刻などありえんぞ!」
そう先生に激を飛ばされているのは俺ではなく彼女だ、彼女は一度振り返り俺がいないことを確認すると周りを見渡す。
俺が席についてるのを見て指をさして反論する。
「えっと、彼も遅刻ですよね?」
指を指されたことにより全員こちらに注目する。
すると彼女は何かに気づいたのか後ろを振り返ると同時にドアが開きそこから顔を出したのは校長だった。
「みなさんおはようございます」
みんなその場でお辞儀をする。
「ここの教室だけ騒いでいたので何かあったのかと思い来ました」
先生が言う前に彼女が先に話し出した。
「校長先生すみません、初日早々私と彼が遅刻してしまって」
そういうと校長は一度俺の方を見たが再び彼女を見る。
「遅刻はいけないね、それと彼とは誰のことかな?」
彼女だけではなくみんなまでも俺に視線を合わせてきた。
「ほほ、君もかね次は注意するように」
それだけを言い先生に一礼をし教室を後にした。
(しらじらしいな)
校長が出たのを確認してから先生が彼女に席に座るように指示する。
そしてやっとホームルームが始まろうとするがさっきので時間を潰してしまいホームルームの終わりのチャイムが鳴る。
「みんなも遅刻しないように気をつけるんだぞ」
その一言でホームルームが終わる。
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