死にたい僕らの遊園地
ジュウジロウ
第1話「自殺支援制度」
今年もまた、その全国一斉検査は行われた。
年一回の一斉検査は、今や国民にとっての恒例行事だ。
その日、シュウたち一家は例年どおり、家族みんなで検査を受けに行って、帰りにファミリーレストランで食事をした。
その検査が制度化・義務化されてから、今年で十年目。
シュウは今十七歳なので、最初に検査を受けたのは、まだ小学校低学年のときのことだ。
一回目の検査のことは、あまりよく覚えていない。
十回目ともなると、もうすっかり慣れた。
毎年毎年同じ検査をして、そのあとは、別に何があるわけでもなかった。
九年間、なんにもなかった。
それが当たり前という感じだった。
だからシュウは、毎年検査を受けるだけ受けて、結果なんて気にしていなかった。
でも、今年は違っていた。
一斉検査から一ヶ月後。
シュウの家には、封書入りの診断書が送られてきた。
家族四人分の、四つの封書。
それらは、どれもずしりと妙に重たかった。
それぞれの名前が書かれた封書を開けてみると、中身の診断書には次のようなことが書かれていた。
『■■ シュウ 様
20**年*月*日に実施された一斉検査において、
診断の結果、あなたは自殺志願者であると判明しました。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます