気まぐれプロット短編集

小雪杏

第1話喫茶店


 夢の中で彼女と会う――。


 小さな喫茶店の人気のない窓際の席。いつもそこで彼女と会う。


 笑った顔も


 怒った顔も


 心配してくれる顔も

 

 泣いている顔も


 どれも鮮明に映る。だが、この場からは動けない――。


 席を立とうと腰を上げると夢から覚める。彼女に触れようと手を伸ばしても、話が途切れ少しの退屈を感じても夢から覚めてしまう。


 でも必ず夢の中で逢う。


 これで何回目だろうか……。


 どんなに悲しい事があっても、どれほど憎たらしいことがあっても、夢の中でいつもと同じ光景で描き出される。


 ――彼女はいつも笑っている。


 ――彼女はいつも泣いている。


 今日は――カフェオレだった。





 瞼から光が漏れ、朝が来たのかと目を開ける。


 だが、まだ夢の世界。


 ――彼女は泣いている。


 ――彼女は笑っている。


 いつもと同じ会話は途中から始まる。彼女は笑い、あたかも自分が返事をしたかのようにひとりでに会話を成立させる。


 ああ、いつまで続くんだ。いつになったらこのループから解き放たれるのだ。


 ――今日は憂鬱。


 ――昨日はくもり。


 ――明日は?


 今日は――アイスコーヒーだった。




 『明日は?』


 明日なんてない、あるのは今と過去だけ。目が覚めても染み付いたように残る彼女の仕草と、紅く焦がす陽光の香り――鼻を衝くコーヒー豆の匂い。


 自分だけが取り残されている。


 彼女だけが立ち止まっている。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


はい。杏です。気まぐれプロット短編集『気ま短』第一弾です。

特に言う事はないのですがまぁ、一応状況の説明から。


これは私が人生で初めてまともなデートをした時に描いたお話です。(そんな貴重な時にこんな事を考えていたなんて、相手もたまげますね。バカですね。)


ま、そんなことは置いといて。状況としては、幾度となく繰り返される映像に嫌気がさしてきた主人公が、この状況を何とか打破しようと過去の自分を探ったり、彼女に仕掛けてみたり、騙したりなんかしてどうにか謎を暴く謎解きめいたお話です。


無論、プロットの構想段階に留まっていますが。


特に考えも無しに文字を並べているので、矛盾や誤認識、誤表現、特定の人物を不快にさせる言葉、などが含まれてしまう可能性があります。


これに関しましてはその都度ご指摘いただければ幸いです。


それでは、今回はここらへんで。


このお話をある程度形あるものにして、【カクヨム甲子園 2018 ショートストーリー部門】に投稿しました!


どうかそちらもよろしくお願いします!

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