八章:三元融界の果て 7


 カウントが残り【01:57】に差し迫った時、それは起きた。


『――あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』


 女の絶叫が、空の彼方から地上に降り注ぐように響き渡ったのである。

 その声には聞き覚えがあった。何処か合成音声のような、だけどはっきりと女性と認識できる――エイダ・ラブレスの声。


「……どうした、ミス・エイダ。何があった?」


 エイケンが訝しむように彼女の名を呼ぶ。だが、返事はない。すべてに絶望したような、あるいは精神の壊れたような悲鳴を最後に、彼女の声が再び聞こえてくることはなかった。

 代わりに――

 彼の背後にあった演算機械――《生命機関》が不可解な鳴動を起こす。

 ――ぎしぎし がたがた

 ――ぎりぎり がくがく

 それは軋み。

 それは歪み。

 電脳空間を介して通じていた二つの機械の繋がり。噛み合っていたはずの歯車が、たった一つの軋轢によって、その結合が――崩れ、壊れてゆく音。

 そして、進んでいたはずのカウントが止まる。それを、その場にいる誰もが目にして――


「何故だ……まさか、エイダが敗れた? 電脳の女王となった彼女が、ただの若者に?」


 困惑したエイケンが状況を分析するように言葉を零す。

 そんなエイケンの困惑を感じ取っているのか。クロームの怪物の、苛烈極まりなかった攻撃の手が、ほんの僅かだけ止まっていて――

 そして、その小さな間隙を、トーリは見逃さなかった。

 攻撃と攻撃と攻撃と攻撃の――その間にできた僅かな隙を縫って、彼はマラコーダへと肉薄し、


「――疾ッ!」


 左腕を、振り上げる。

 漆黒の閃きが、暗色の光の軌跡を描いて――マラコーダの腕を、切り落とす!



『――GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』



 切り落とした腕が落ちると同時。床に落ちた重い金属音を呑み込むほどの絶叫を響かせて。

それはまるで金属同士が擦れるような不協和音。

片腕を失い、支えを失ったクロームでできた化け物がバランスを崩して頭から地に倒れる。それがなお酷い、金属の軋轢の音となって塔全体に木霊して。

 クロームが上げる悲鳴に、怪物の主が目を見開く。


「貴様っ!」

「余所見してるほうが悪い。待ってあげる理由なんてないんでね!」


 不敵に笑い、不遜に吼えて。

 異形の左腕を叩き込む!

 腐食の左手。腐敗の左手。触れるすべてを蝕んで殺す王の腕が、マラコーダの外装を食い散らしていく。

 クロームの鎧殻に空く無数の孔。孔。孔。これだけ空けば鋼鉄核に手が届く。

なら――


「――こわせる!」


 外装ごと、その奥にある鋼鉄の心臓に手を伸ばし――


「調子に……乗るな!」


 マラコーダに向け、裂帛の気迫と共に拳を振り上げたトーリの間に割り入る影、一つ。

 学者然とした男――エイケンが、その手に大振りの短刀を握りトーリへと襲い掛かった。

 その痩身からは想像もできないような俊敏な一突きに、トーリは些かに反応が遅れる。

 刃が微かに腹部をかすめて、鮮血が舞う。

 だが、今更この程度の傷で――トーリは止まらない。既に腹には風穴が開いているのだ。どういうわけか塞がりつつある傷のことは、今のところは考えず、トーリは立ち塞がるエイケンを見た。

 鋭い――鋭利な眼光だった。そしてその佇まいに隙がなかった。蒸気機関の時代を切望し、チャールズ・バベッジの栄光を夢見る男。そんな彼からは想像もつかない獣性と、気を抜けば次の瞬間に切りかかってくるような殺気に、トーリは思わず息を呑む。

(……どうする?)

 思えば、人間とこうやって対峙した経験は、トーリにはない。

 あるのは怪物との戦い方だけ。

 電脳空間での電子の怪物との戦い方。そしてこのノスタルギアで、鋼鉄の怪物との戦い方を。 

 だけど、トーリに対人戦闘の経験はないし――人に殺気を向けられるという経験はなかった。あるわけがない。

 トーリはハッカーだ。電脳都市を襲う外敵に対処する電脳戦士。

 九角のように、現実世界でも荒事に臨むようなランナーではないのだ。

 怪物ならば、殺せる。それが電脳であろうが、鋼鉄であろうが。

 だけど、たとえ遥か昔の人間だとしてもだ。自分に、彼――エイケンを殺すことができるだろうか。

 ――ああ、だけど。躊躇っている暇なんて。


「何を呆けている」


 眼前の狂人は赦さない。

 短刀が、閃く。無数の軌跡が、縦横無尽に殺到する――疾い!

 大きく後方に飛んで斬撃の包囲網から抜け出す。だが、エイケンの間合いはトーリが思っている以上に広く、幾つかの斬撃が肌を裂き、切られた部分が熱を帯びる。

 どれもが、重要な血管を有する箇所。あと数ミリ深ければ大出血に繋がるような傷だ。まさに超絶技巧。達人の技だ。殺す、達人の、技。

 的確に、殺しに来ている。それが判る。判ってしまう。

 刃に込められている殺意が、負った傷以上に威圧プレッシャーとなって襲い来る。

 凌げるか。あるいは切り抜けられるか。この全身を貫く殺意を滲ませたエイケンの横を潜り抜けて、彼の背後で、片腕失ってなお、立ち上がろうとしているマラコーダを潰せるか。

 ――難しい、だろう。

(なら……どうする?)

 考える。思考、巡らせる。

 今自分のするべきことを、改めて考えて――

(……ん?)

 そこで、はたと我に返る。

 いいや、違う。そうじゃない――そうじゃなかった。

 自分のするべきこと。トーリが今、なさねばならないこと。それは、別に目の前の殺意纏う男を退けることでも、アリキーノを討ち取ることでは――ない!

 とんだ思い違いをしていた。

 熱くなっていた。頭に血が上っていたのかもしれない。

 ついさっき、そうすること決めたばかりなのに。どうしてこう……僕ってやつは。


「――まるで間抜けそのものじゃないか」

「考えごととは、随分と侮ってくれるな。カウボーイ」


 自分に失笑する。と、同時に声がすぐ傍から。

 目の前に、男は迫っていた。

 短刀が再び閃く。一呼吸の間に、斬撃は文字通り無数に迫った。最早肉眼で視認できる勢いではない。

正面から迫ってきているはずなのに、その刃はまるで全方位から迫ってくるような錯覚すら覚えるほど凄まじく、電脳空間における高速回避プログラムのないノスタルギアで、これを躱すことは指南を極めた。

 いや、すべてを躱そうと思うな。思わなくていい。

 苛烈にして鮮烈。獲物を一撃で屠る狩人のような、正確無比なエイケンの斬撃。

 先ほど痛感したのだ。身をもって。

 ならば、どうすればいいかは――自ずと見える。


「――死ね」


 その言葉と同時、エイケンの振るった刃がトーリを襲った。

 射貫くように、狙い定めた斬撃の雨。



 一瞬の、空白。



 エイケンの刃を浴びたトーリの全身から、鮮血が噴き上げて。そのままぐらりと、身体傾いて。


「――……ったいなぁ、くそ!」


 だけど、倒れることはなく。

 一歩だけ、強く地面を踏みしめて、エイケンを見据える。


「――何故倒れない? 致命傷のはずだ」

「なら……簡単じゃん。致命傷じゃなかったってことだろ?」


 泣いて転げ回りたいくらい痛いけど。なんてことは口にせず、トーリは代わりに不敵に笑って見せた。

 別に難しいことじゃない。

 ほんの、ほんの僅かだけ、トーリは体の位置を傾ける――それだけで。

 それだけで、彼は殺し損なった。いいや、殺し損なわせた。

 針を落とすような正確さを持った斬撃の着刃点をずらす。歯を食い縛って、痛み――耐え抜いて。

 さあ、切り返そう。

 驚愕に剥くエイケンの双眸に、口元歪めて見せて。


「そらっ!」


 一擲を投じるように、右腕を――その先に握る動力駆動式鉈を振り下ろす。蒸気を噴き上げ唸りを上げる刃が、エイケンの頭頂へ振り下ろされ、しかし捌かれる。

 短刀ではない。何処からともなく現出した無数の糸塊が刃を受け止めていた。

 エイケンの足元から、まるで火山が噴火するかのように糸の濁流が噴き上げる――《虫食ム糸海》。エイケンの有する干渉術式が、エイケンの殺気に呼応するように鎌首をもたげて、


「――呑み込め、《虫食ム糸海》よ!」

「――食い散らせ、《破戒ノ王手》!」


 声に呼応して、両者の干渉術式が衝突する。

 運河の如く広がり殺到する数多の糸を、腕から迸る暗色の螺旋光が相殺し、


「――そこ、だ!」


 その間隙を縫うようにして、トーリは渾身の力で動力駆動式鉈を投擲。

 飛来する動力駆動式鉈を、しかしてエイケンは体捌きで回避する。男の横をすり抜けていく動力駆動式鉈は、遥か後方で何かにぶつかり、その唸りは鳴りを潜めた。


「う……あっ」


 同時に、全身を襲う途方もない脱力感。立つことも叶わず、トーリは鉈を投げた勢いのまま地面に倒れ伏した。血を流し過ぎた状態で無理をし過ぎたのだ。

自分の流した血溜まりの中に倒れるトーリの左腕で、螺旋の光が終息していく。

 それを見下ろし、エイケンは何処か安堵したように嘆息一つ零す。


「よもや再び――二度に渡って我らを妨げるとは思わなかったぞ、カウボーイ。まったく……お前たちバルティの徒は、どうしてそうも我らの目的を阻むのか……」


 理解ができないという風に頭を抱えるエイケンは、溜息交じりにそう零す。

 そして、その言葉に対して、トーリは地に伏しながら笑ってやった。


「……なんだよ……そんなことも判らないのか……パイオニアが聞いて呆れる。貴方のエジソンメダルがないてるぞ?」

「……減らず口を」

「だって……貴方がしてることと、僕のしてることなんて……そんな、大差……ないじゃないか」


 彼が、師と仰ぐ男の栄華を望むように。

 トーリもまた望むのだ。師の願いを果たすことを。

 そして彼女――アゼレアとの約束を果たすことを。


「……あと、あれだよ」


 まあ、もしも他に理由があるとすれば、それはまあ難しいことではなく。


「負けっぱなしは、癪だってことさ。そうだろう?」


 にやりと、嘲るようにエイケンを見上げる。

 彼の表情が、言外に「どういう意味だ?」と語っていた。

 そして。

 返事は――エイケンの背後から。



「まーったく以てその通り――――だよっ!」



 憤慨の叫びと共に、何かが壊れる音が塔の中に響く。

 トーリが会心の笑みを浮かべ、驚くエイケンが振り返った先に映るのは――

 七種響――エコーが、動力駆動式鉈を担いで、今まさに《生命機関》からアゼレアを引っ張り出している瞬間で。

 アゼレアに肩を貸した空色の髪の少女は、頭に生えた猫のような耳を動かして、ご立腹という様子でエイケンを睨み付ける。


「このおっさんが! よくも乙女の柔肌を傷物にしてくれたな! 挙句にあーんなくそ狭い箱の中に詰め込んでくれちゃって……一発食らわせてやるから覚悟しろ!」


 そう、力強く宣言するエコーに、助けられたアゼレアが失笑しながら肩を竦める。


「もう充分一発食らわせていると思うよ、ミス・エコー」

「じゃあまだ足りないから、ギッタンギッタンにしてやろう」

「頼もしい限りだよ、エコー」


 動けぬ身体に鞭打って、どうにか片膝をつきながら、トーリは微苦笑を零す。

 そんな騒がしい中で、エイケンが表現し難い形相を浮かべてエコーを睨み付けた。


「どうやって棺から出てきた。あれは、中から開けられるものではないぞ」

「そんなの決まってんじゃん。コレ、目に見えてないの? ミスター」


 そう言って、エコーはあの長大な動力駆動式鉈をぶんぶんと振り回して見せる。

 彼女の手に握られている武器を見て、暫し目を瞬かせたエイケンは――漸く事の次第を理解してトーリを凄まじい形相で見下ろして。

 トーリはしてやったりと笑みを浮かべて返した。

 つまり、そういうこと。

 トーリの目的は、最初からアゼレアとエコーの救出だった。

 いろいろごたごたして、目の前の科学者や巨大なマラコーダと戦ったりしていたが、それはトーリの目的とは違う。

 だから、エイケンを攻撃する――と見せかけて、その背後にあった《生命機関》の端末――エコーが押し込められていた棺を狙って投げたのである。

 箱が壊れても、エコーが目を覚ましてくれるかは賭けだった……結果は御覧の通り。エコーを解放できれば上々、と思っていたのだが、まさかアゼレアをその場で助け出すなんて――正直期待以上の結果となった。

 そして、アゼレアという核を失った《生命機関》は、アゼレアを解放する過程でエコーに壊されてしまったのか、不可解極まりない軋轢の音を響かせ、機械のあちこちから紫電を迸らせ始める。

 その有様を目の当たりにし、エイケンは愕然とその場に膝をついて天井を仰ぐ。


「莫迦な……私の、階差機関が……《生命機関》が、こんな……ただの、端末として利用した娘に? 魔女の弟子でもないただの子供に……こんな、こんな結末など……っっ」


 ぶつぶつと呟いていたエイケンが、暗い声音で、クロームの怪物を――マラコーダの名を呼び、


「我が子マラコーダ。こいつらを――殺せ」


 怨嗟の籠った声で、彼は囁くようにそう言った。

 その言葉に呼応するが如く、



『――GRAAAAAAAAAAAAAAA!』



 腕を失い、怯えるように蹲っていたマラコーダが、己を奮い立たせるように吼え猛る。

 断たれた四肢なき今、三本の脚で身を持ち上げて、赫眼に殺意を滲ませこちらを見据えていて――


「……やばっ」


 目が合った瞬間、マラコーダがその長い尾を持ち上げたのを見た。振り下ろされる。躱さないと、と思うけれど、身体はトーリの意思に反して地面に膝をついたままだ。

 回避不能。

 防御不可能。

 まさに絶体絶命という状況のトーリに、マラコーダが耳障りな咆哮を上げながら無慈悲にその長尾を振り下ろし――マラコーダの尾がトーリを叩き潰す寸前、凄まじい力で襟首を引っ張られた。


「ぐえっ!」

「格好悪い声だね、カウボーイ」


 振り返れば、にかりと笑うエコーがいた。彼女はトーリを引っ張った勢いで背後に投げ捨てる。それを、壁際にいたアゼレアが受け止めた。


「やあ、トーリ。なんだか久しぶりな気がするよ」

「まったくだよ。囚われのお姫様になった気分はどう?」


 訊ねると、アゼレアはうんざりした様子で溜息を吐く。


「最悪だよ。親の仇には拿捕されるし、身体のあちこちは弄られるし、胸元は晒されるし、気分を害したよ。すごくね。ああ――だけど、最後はなかなか悪くなかったかも」

「その心は?」


 言ってから、後悔した。アゼレアが、すごく意地の悪い雰囲気の微笑を浮かべたからだ。

 彼女はにやりと口の端を釣り上げて、そして何処か弾んだ声でこう言ったのである。


「こうして王子様が助けに来てくれたからだよ」

「……君の皮肉は相変わらず苦みがあるよ」


 からかうように口元を歪めるアゼレアの様子に、トーリは安堵した。どうやら、軽口を叩けるくらいには元気そうだった。だから、ほっとして。

 そんなトーリの耳に、逞し頼もしい友人の声が届く。


「――そいっせ!」


 エコーが動力駆動式鉈をマラコーダへと叩き込んだ。回転する刃がマラコーダの装甲に僅かな傷をつけるが、あの程度では掠り傷程度のダメージだろう。エネミーの中でも規格外の大きさを持つマラコーダ。相対するならば、やはり干渉術式が一番の有効手段だ。

(――まだ使えるか?)

 ちらりと、自分の左腕を見下ろして。意識を集中してみるが……やはりというか、こんな満身創痍の状態では、干渉術式を発動させられるわけもなく。

 エコーは今のところ善戦している。だけど、彼女とで本調子ではないだろう。動きが鈍いのが見て取れる。恐らくは長くはもたない。

 ぎりぃ、と奥歯を強く噛み締めて。

 ――此処まで来て、打つ手なしとか。


「九角来ないかな……無理か」

「そこは、俺が何とかしてやる! という展開じゃないかい?」


 零れた言葉を逐一拾い、的確に突っ込みを入れるアゼレアに苦笑を浮かべる。だけど、どううしてだろう。

 その言葉通りにしてやろう――なんて思うのは。

 口の端を釣り上げて、トーリはアゼレアに一言、「ありがとう」と零して。


「――干渉術式、励起」


 己を強く鼓舞して――立ち上がって、疾る。


「エコー、一撃凌げ!」

「りょーかい!」


 にやりと微笑みを返すエコーが、今まさに振り下ろされたアリキーノの尾に、渾身の人たちを見舞って受け止める。

 ――その横を、すり抜けて。


「起動せよ――」


 発動する異能。同時に――ギシリと、左腕が軋むような気配。続いて頭部に感じる、ビキビキという異常な違和感。


 ――便利なだけの力ではないのだからね。


 脳裏に過ぎる、アゼレアの言葉。

 痛みとは違う。もっと根本の、根源の――そういう部分で疼く何か。だが、

(知ったことか!)

 それが齎すものがなんであるかは判らない。だけど、今この力を振るうことを躊躇ってなんになる。

 それは、この塔を上った時から決めていたこと。

 故に、躊躇いなく。


「――《破戒ノ王手》ゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」


 左腕から溢れる螺旋を纏って。全身全霊の拳撃が、マラコーダへと吸い込まれるように突き刺さる!

 クロームの外装を貫いて、侵食の左手はその内側へと拳を届かせる。腕から溢れる螺旋の光が、触れる端からマラコーダを朽ち果てさせていき――その奥に秘められた、鋼鉄の心臓へ、手を伸ばす!


『GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』


 絶叫。あるいは断末魔。鋼鉄の怪物が、その全身を大きく仰け反らせ――それを最後に。まるで糸が切れたように。命、絶えた様子で。

 そしてそれは、その巨躯に相応しい重量感を感じさせる音と共に、マラコーダが――ついに沈んだ瞬間だった。

 そしてその姿を確認したトーリは、そのばでゆっくりと膝をつき、


「これで……終わりだ」


 万感の思いと共にそう一言口にして。

 ゆっくりと――それこそ、自分の名を呼ぶエコーの声も無視して、トーリは重い瞼をそっと伏せた。


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