第3話 人間は物質ではなく現象である
海や川にいって渦を見たことがあるでしょうか。ぐるぐると螺旋を描いて回るあの渦です。渦とは物質でしょうか。もちろん違います。水という物質が渦を作っているのであってけして「渦」という物質があるわけではありません。
渦は新しい水を常に取り込んで古い水を外へと排出しなくてはその姿を保つことができません。渦とは水の流れによる現象です。誰もが異論のないところでしょう。では「人間」はどうでしょうか。人間は物質でしょうか。答えは・・・NOです。
人間の細胞は常に入れ替わっています。早いものでは数日で入れ替わり長くても三ヶ月程度で入れ替わってしまいます。つまり数ヶ月前に私達を構成していた物質はすべて外へと出てしまって一つも残っていないのです。
人間は食べ物や空気などを常に体内にとり込み続け、それらは体を構成する細胞などとなりやがて老廃物として呼気や器官から外界へ排出されてゆきます。この活動をやめてしまったら人間は人間の姿ではいられないのです。
時間を早回しにして想像してみてください。人間は物凄い勢いで外界から空気や食物や飲み物を取り入れて一瞬だけ体内に留まりそしてものすごい勢いで外界へと排出し続けている。まるで渦のように。
人間は物質ではありません。渦と同じ現象なのです。人間は現象であり人間という実体はないのです。そこには人間を構成する部品が集まって人間と言う渦を作る「関係」だけがあるのです。
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