呼吸する透明な月

第一章 一

静かな夏の午前四時。

人も鳥も蝉も夢を見る時間。

空は深い海のようなブルーに包まれている。


僕はこの時間の散歩が好きだ。

宇宙の中にひとりだけ。

あるのはただひとりのちっぽけな自分という存在。


点滅する信号はまるでこの世界の秩序が崩壊したことを知らせるサインみたいだ。

どこまでも続く道の先は暗く、人影はなく、音もない。

時の波もこの深い海には届かない。



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