18p
(ひいぃぃぃぃーっ!)
彼女は歯を食いしばり、声が出そうになるのを堪える。
小さな影は、しばらく穴の中を覗いていたが、気が済んだのか穴から首を引っ込めた。
彼女は穴の外の状況を知ろうと耳を澄す。
彼女の耳にザクリッっという音が小さく聞こえる。
(なっ……何? 何の音? 何の音だっけ? コレ?)
何処かで聞いた事がある様なその音に彼女は集中する。
(何よ? 誰よ! アイツなの? 一体、何をやっているのよ!)
影の人物が彼女の追っ手では無い事は影の小ささから分かる事だった。
しかし、彼女は混乱していてそこまで気が回らない。
けれど、音の正体については直ぐに彼女が知る事となった。
彼女の頭にパラパラとソレが降って来たのだ。
彼女はソレが何なのか一瞬解らなかったが自分の服に付いたソレをスマートフォンの明かりに翳して見て、その正体を知る。
土だ。
ザクリッ!
そう、この音は……。
(土を……掘っている? その土を……)
上を見上げる彼女の顔に土が落ちる。
口の中に土が入り、彼女はソレを吐き出した。
「ううっ! ぐえっ! なっ……まっ……まさか! 穴を……穴を土で埋める気ぃぃ!」
ザクリッ!
「嫌っ……」
彼女の頭に土が降り注ぐ。
ザクリッ!
「嫌だっ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます