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「大丈夫よ! 秘密の場所は他にも有るし、だから今日からここは私とりょう君、二人の秘密の場所にする! ねっ、遠慮しないで良いのよ。二人の場所だもの」
瞳はニンマリして良の顔を見る。
良もニコリと笑う。
「僕ら二人の秘密基地か。良いね!」
「ふふふっ。じゃあ、今からここは二人の秘密の場所ね! ねぇ、家にシャベルを取りに行こうよ! さっき使ってたヤツは学校に返しちゃったから」
「うん、そうだね! じゃあ、いったん家へ戻って、シャベルを持ってここに集合しよう!」
「分かったわ。じゃあ、また後で!」
「うん、後で!」
二人は公園から出ると、それぞれの家へシャベルを取りに走った。
二人はこの日からこの場所で、二人きりで穴を掘る遊びを続けた。
放課後待ち合わせて二人で毎日毎日穴を掘った。
恐ろしいほどの集中力で小さなシャベルで穴を掘り進めて行く。
穴は深く深く掘られていった。
シャベルでは掘り切れなくなると、二人は家からスコップを持ち出して穴を掘った。
二人は夢中だった。
このまま掘れば、地球の中心まで掘れるかも知れない。
素敵な宝物が出て来るかも知れない。
化石が見付かるかも知れない。
地下の国に行けるかも知れない。
二人の美しい空想は何時までも続くかの様に思えた。
穴がとても、とても、とても深くなると、良はロープで縄梯子を作った。
そのロープで穴の底に降りて作業をした。
二人で穴の中に入るのは狭いし、掘った土を外に出さなければいけないので、交代で中に入り、一人は中で穴を掘り、一人はロープに繋がれたバケツでバケツに入れられた邪魔な土を外へと引き上げた。
穴を掘った時に出る邪魔な土は穴の隣りで山を作っていた。
その土の山のてっぺんには、お子様ランチに付いていた小さな旗が刺さっている。
二人の掘った穴は、深く、深く、深く深く深く深く深く深く、何処までも続く様な、そんなモノになっていった。
夕刻になり、それぞれの家へ帰らなければいけなくなると、二人は土の山と深い穴を交互に見て、満足そうに笑い合った。
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