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名▓し
私のほうが。
第1話『 Empty 』
じりりと
まだ
カレンダーのページをめくり、
チェシャの
しっかり
いつも
レタスサラダと
ちょうど
サイズぴったりの
「……ごちそうさま」
ささやき程度に残したそれは、
「いってらっしゃい」
目を合わせないまま、声だけが
まるで他人のようなやりとり。新聞に顔を
うっかり見失ってしまうと
流れてきた曲はどれも聴いたことがなかったが、気を散らすにはちょうど良かった。
四月も半ばだというのにこの体は寒がりなのか、何枚重ね着してもまだ肌が
バス停が河沿いにあるということで、このみちを通るのはやむをえないのだがやはり
この街はどこかあべこべだ。ゆっくりと景色を楽しむ
この地域はほとんどが
河さきに視線をうつすと、季節に遅れた桜木がはらはらとなごりを散らして水面へと
「おはよう」
背後からの声に肩を
視界の端から
「……っ」
若干の焦りと緊張をない交ぜにした舌打ち。幸い、彼女には聞こえなかった。首筋に伝う戸惑いの汗がうっとうしい。唇を解いて、息を吹き込む。でも、途中でほつれてしまって、また閉じる。
まごついていると少女は不審げに首を傾けた。途端に罪悪感がこみ上がる。
「あ……」
それでも最低限失礼が及ばないように、
「あのっ……だれ、ですか……?」
言いながら
「―――――え?」
予想していた反応に目を当てられなかった。
私は私が
空っぽの私を、
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