射干玉の闇

天野 文暗

賜るはお告げ

「ハッ! ハアハアハア……  なんだ…………?今のは…… もしかしてこれが俗に言う『神託』というものなのか?」

 

 あ、どうも。はじめまして。 

私は人間の奥田おくだ 隆之たかゆきと言います。

 

きっと皆さん現状がおわかりいただけていないと思うので少し補足いたします。

 

 コホンッ!

 

ゴホッ!


やはり慣れないことはするもんじゃありませんね。

咽せてしまいました。


では気を取り直して。



私は今、仕事を終えその疲れた身体を癒し、再び明日酷使するために寝ていました。すると、私が信仰している『極進教』の俗世間流に言えば、いわゆる『神』から神託を授かったらしいのです。


一体どんなお告げだったのでしょうか?


気になりますよね。


その中身は簡単に言うとこうです。

 

 "人間は全て生きているだけで苦しみを味わわせられている。 だから、何者かがその身を賭して救ってやらなければならない。その為に私は私を信じるお前に神託を授けよう。

 

 生きている者は全て苦しみのない極楽へ送ってやれ。


 今日からその名は"死神"とせよ。


全ての生ける者を殺した後、お前も苦しみから解放されるがよい。"

 

 素晴らしいでしょう。 当然です。なぜなら私の信仰の拠り所なのですから。

 この腐りきった世の中に対して私が絶望することもなく生きてこれたのはまさしく我が『神』の教え、そしてその存在ありきなのですから。

 

 そして、『神託』が下ったからには私はやらねばなりません。


何故かって?


そこに理由などありません。

『神』は我が全てなのですから。

 

 さて、どうしましょうかね。 神託が下ったからには、きちんとした隙のない計画を立て、着実に人々をこの腐土から救ってやらねばなりません。なぜなら、それが私の使命なのですから。そして、無事に認めてもらった暁には私も旅立つのです。

 

 

 さて、どこが狙い目でしょうか。

 

 田舎にしましょうか?

 

 それとも大都市にしましょうか?

 

 田舎を狙うのであれば、小さな村々を一日一つをノルマにして潰して行くのが最も良いでしょうか。

 その場合、きちんと電話線を切るなどして連絡手段を絶ち、孤立させてからやらねばなりませんかね。

 

 

 大都市を狙うのであれば人混みを狙い、一気に捌いていくほうがいいですかね。

 

 長期的には田舎、短期決戦ならば都会、大都市と言ったところでしょうか。

 

 迷いどころですね。

 

 

 私はやはり、長期間リスクを背負いながら小規模な『救出』を続けるよりも、大都市を狙っていく方がより効率的によりたくさんの人を『救出』できる気がします。

 

 基本装備はそこにある日本刀で良いでしょう。 昔やっていた剣術がきっとまだ使えるでしょうから。

 

 剣術といえば懐かしいことを思い出しました。

 昔、師範代に「お前の剣には曇りがない。将来はこの道場を継がせてやろう。」と言われていましたね〜。

 

 まあ、神聖なる道場の庭をその汚い排出物で汚した猫の頸を木刀でへし折ったら即破門にされましたがね。

 

 嫌な思い出です。

 

 それはさておき、サブはなんにしましょうか。 包丁と他に何本かのナイフでいいですかね。 しかし、これでは近接によってしまい銃撃には手も足も出ませんね。

 

 どうしましょうか。

 

 まあいいでしょう。その時はその時です。

 

 最悪、剣撃のように刀でも流せるか試してみればよいですし。

 

 

 

 

 

 では行きましょうか。

 

 

 

 

 

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