第10話 彼女

「彼女は?」

「いない」

「春香は?」

「……友達の友達、だよ」

「無理してない?」

「何を?」

「遠慮しなくてもいいのに」

「遠慮?してないよ」

「どうせ私なんか……」

「怒ることないだろ、夏希……。何でこう……」

「怒ってない」

「じゃあ、すねてるんだ」

「いちいち気にさわることを言うから」

「何が?」

「何がって……秋雄君にはわからないわよ」

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