続してもう一本

空の水割りウイスキーの瓶に貼ってある「30%オフ、税込299円」の値札がプロレタリアな感情を湧き立たせる。

これほど灰皿にしやすい瓶もなかろう。と既に吸い殻で押し詰められたガラスの隙間に紫色の味がする煙草を捻じ込み、また同じ煙草に火をつける。チェーンスモークだ。

全身を舐められたからだろうか

はたまた唾液を嚥下したからだろうか

理由が定かではないにしろ、行き摩りのお姉さんの匂いが消えずどこからか香り立つのだ。

恋人ならともかく、一夜で消える関係の香りは

少し下品で

少し官能的であり

未だ未熟な僕の脳味噌では処理しきれず持て余してしまうばかりだ。

虚しさを微量に含んだ感情を誤魔化す為にまたもう一本、着火する。

飲み口から揺蕩う消し残しの煙が妙に心地よい。

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