続してもう一本
空の水割りウイスキーの瓶に貼ってある「30%オフ、税込299円」の値札がプロレタリアな感情を湧き立たせる。
これほど灰皿にしやすい瓶もなかろう。と既に吸い殻で押し詰められたガラスの隙間に紫色の味がする煙草を捻じ込み、また同じ煙草に火をつける。チェーンスモークだ。
全身を舐められたからだろうか
はたまた唾液を嚥下したからだろうか
理由が定かではないにしろ、行き摩りのお姉さんの匂いが消えずどこからか香り立つのだ。
恋人ならともかく、一夜で消える関係の香りは
少し下品で
少し官能的であり
未だ未熟な僕の脳味噌では処理しきれず持て余してしまうばかりだ。
虚しさを微量に含んだ感情を誤魔化す為にまたもう一本、着火する。
飲み口から揺蕩う消し残しの煙が妙に心地よい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます