ふくよか

文字の輪郭をなぞる事。

それだけが彼女を浮かび上がらせる。

今は亡き自信と傲慢に魅せられた日々を煌びやかに思い出させる。

文は肉体を形成する。

変わってしまっても

以前の勢いが失われてしまっても

彼女の素っ気なく

罪深く

エロティシズムをくすぐる文だけは変わらない。

肉体的なエロスをその身に残している。

彼女の蜜をその舌に感じられなくとも

記憶の底からジワジワと滲み出るその蜜を吸うだけだとしても

僕はここではない何処かにいる様で

金ピよりも強いタール

ガツンと脳にくる刺激を感じて

死んでしまいたい様な

不思議な感覚に溺れるのだ。

しかし

それも過去

僕には進むべき道がある筈

それが今を照らしている太陽でなくとも

僕には太陽光が照らすその先の闇に

きっと

道が開けてる筈

そんな不完全な道を求めて僕は煙草と酒とほんのすこしの肉体的愛を持ち

旅に出ているのだ。

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