第16話学研の『電子ブロック』その2
部活の先輩たちが総出で、解説集を頼りにブロックを組んでいるのを、美和子は横で見学していた。しばらくしたら『鉱石ラジオ』の回路が組み上がったらしい。電池を入れて、チューニングを合わせてみると、見事にラジオから音声が流れて、ラジオを受信することが出来ると、部室内は歓声の声に包まれた。その様子を伺っていた山崎部長が、
「回路の解説集が付いてきていたのがありがたかったですよね。だからうちらのような電気回路についてまったくの素人でも、こうして鉱石ラジオの回路を組むことが出来たわけですからね」
すると根岸先輩が、こう付け加えた。
「まあ欲を言えば『光実験』の方も解説集も付けて欲しかったですけど、仕方がないですよね。この手のキットは元々は、電気回路に対してある程度の知識を持っている人向けの、趣味の商品ですから……。仕方がないからネットで回路図を調べながら、チョコチョコと回路を組んで、今後実験をしてみますよ」
(こんな些細なことでも、盛り上がれる部活なのね。理系同好会って……)
美和子はその子ども心を忘れていないような、部活の先輩たちの気持ちに、少しだけ共感を感じていた。
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