第11話部員紹介ラスト

 根岸先輩がそう言うと、今度は山崎部長が残念そうな顔つきで、

「僕がこの部に入ったときには、女子学生が奇跡的に一人一緒に同期で入ってきたのだけれども、その子は二ヶ月もしないうちに部活に来なくなっちゃって、そのうち部活を辞めてしまいましてね。それで、結局は大学自体も辞めてしまったらしいですけれど……」

「でっでも中身は、ひっ非常に、たっ楽しい部活なのですけどね」

 そう羽鳥先輩がフォローを入れた。

 そして美和子には、もう一つの疑問が生まれた。そう『大学四年生』が、誰一人として在籍していないことである。

 そのことも美和子は聞いてみると、山崎部長は、

「今もこの大学に在籍していたら、本来大学四年生になっていたはずの『元』部員の先輩方は、僕が大学二年生のときに二人ほど先輩がいたのだけれども、僕が大学二年生のときに、二人とも辞めてしまったのだよね。もちろんというか、大学ごとね。だから大学四年生はこの部にはいなくて、大学三年生の、僕と根岸と羽鳥の三人が、この部の中では一番上の学年なのね」

 ああそうだったのね……。美和子は「悪いこと聞いちゃったかな?」と、少し反省をした。

 話を元に戻して、部の先輩方の名前と顔を覚えることについてだが、もともとが名前と顔の覚えの悪い美和子は、山崎先輩だけ『山崎部長』と呼んで、残りの先輩方は普通に、例えば根岸副部長だったら『根岸先輩』と、あえて部活での役職では呼ばずに『先輩』と呼ぶことに統一して考えるようにした。

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