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「なら僕の、今日の最後の幸せのカクテル、作ってもらえますか?」
「もちろんですとも。何を作りましょう?」
言った後少しだけ照れたように笑ったサカキさんは顔に似合わず小首を傾げて可愛らしく答えた。
「甘いものがいいです」
「甘いもの、ですか」
大好きなグラスホッパー自体甘めのカクテルだし、もともとあまりキツイものは飲まない人だ。うーん、どうしようかな? まだメニューには掲げてないんだけど。
「もう一杯、グラスホッパーはいかがです?」
でもだめもとで訊いてみる。好きなカクテルだし、もしかして・・・
「え、いいですか!」
と、予想以上に輝かしい笑顔で返してくれたので、ちょっと安心。おっけー、なら作ってみよう!
きっとサカキさんなら喜んでくれるだろうから!
「お待たせ致しました、チョコミントフロートです」
ことん、とグラスと置くよりも早くそれを見つめる目がパッと開いた。よかった。
「こ、これカクテルなんですか?」
驚いているようだけどその感触は悪くない。むしろ好きそうで良かった。
「はい、ベースはグラスホッパーなんですけれど、自家製のチョコミントアイスとの相性を考えて少しだけ調整しています」
「え、アイス、マスターが作ったんですか!?」
「はい。実は私もチョコミントのアイスが好きで。意外と簡単に作れますよ」
世の中チョコミントブーム、って言うわけじゃないけどもしかしたら需要あるかも、と思って(もちろん自分が飲みたかったのもある)この間試作品を作ったものだ。
グラスホッパーはミントとカカオのリキュールを使う、飲み口はチョコミントにそっくりなカクテルだ。だからこそ、アイスを乗せてデザートカクテルにしてみるのも美味しいかもと思って。
調整したグラスホッパーに生クリームとチョコミントのアイス、それからチョコの小さな飾りとミントを乗せて。バイトの斉藤君はチョコミントが苦手だから感想がいまいちだったけど、サカキさんの反応は上々だ。
「い、いただきます・・・」
その後に言葉は続かない。それでもその顔を見れば答えは一目瞭然。その顔が見られたなら、もう言葉はいらないね。やった!
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