偉大なる冒険者達にも、老いは来る。

ハッピー

第1話

「この世界には、

魔王も、勇者も、魔法使いもいません!!!」


今年から高校へ進学した弟(誠)に、

私(香織)が、弟を思う姉としてい叫んだ言葉である。



毎日ゲーム三昧の生活をした弟。

とうとう明日から夏休みだというのに、

なんと学校から、補習授業と言う名のお呼び出しがかかってしまったのだ。




「あーあ、、

俺、将来、魔法使いになりたいんだよ〜

なのに、補習授業とかさぁ、、


ホントにや〜

どーやったらなれっかなぁ〜魔法使い、、」


本日も45度という猛暑の中。

額に汗して職場までの往復と、八時間労働をこなしてきた私。


今年で社会人として三年目となり、すいも甘いも、

ようやく経験した昨今。


世の中。

忍耐も、努力も、大事なのだね?


そんな分かり始めたマイレボリューションな時期を迎えていただけに、、。


弟の怠け具合には、熱くなった頭に カチンときた訳なのです。



エアコンの効いた涼しいリビング。

そのソファーで、だらし無く寝っ転がり、

携帯ゲームに興じる弟。


彼の言葉を聞いて、思わず、口に含んだアクエリアスを吹き出しそうになる。


独身、彼氏なし、丸顔おかっぱの私は、

必死に口を閉じて耐えた。


冷蔵庫から開けて冷えたアクエリアス✨

最近は、職場の自販機でも、コンビニでも売り切れ。

異常とも言える、毎日の高温で熱中症予防が叫ばれている世の中だからだ。


一日、体を奉仕して仕事をしてきた身体には、飲む点滴。スポーツドリンクは染み渡る。


ゲーム好きな弟が、「アクエリは、ポーションだ」と、なかなか良い事を言っていたが、、


「何バカなこと言ってるの。

それよか、、通知表は???貰ったでしょ???

母さん達に見せなさいよね?」


呆れながら私が言うと、弟は、私に背中を向けながら言ったのだ。



「だから、、

魔法使いになるには、成績表は関係ないだろ???

、、はぁ俺。打倒魔王の旅に出たい、、、」


私は、ブチ切れて冒頭の言葉を叫んだ訳なのですよ。



、、、しかし。

そんな私は、ひょんな事から『魔王』を倒した偉大なる『元・勇者達』のお手伝いをする事になるのでした。


→ポーションは、アクエリ味???ポカリ味???



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