第26話 外

 陣営に運ばれると、次に待っていたのは大音量の作業音。先程の比ではない程の反響。

「拷問だな。」

 諦め、また耳を両手で塞ぐ。


 何時間にも感じる作業音の反響。実際には、小一時間といったところか。


「よし。これで開くはずだ。」

 団長の魔動人の両手がキャノピーにかかる。

「ゆっくりな。」

 ようやく、出られると気を抜く。

 『ギャウゥゥゥゥゥ。』捻れる音が響いた。

「うっ。」

 歯を食いしばり耐える。


 反響が止まると、コックピットが人一人が通れる隙間で外と繋がった。

「王子。無事ですか。」

 ひょっこりと技術責任者が顔を覗かせる。

「ああ、耳以外はな。」

「それは、何よりで。」

 技術責任者の顔から、団長の顔に代わりに太い腕が伸びて来た。

「王子。お手を。」

 その手を掴み引っ張られた先は、待望の外。


「これから、調査しますので王子はお休みを。」

 技術責任者が一礼する。

「そうさせて貰う。流石に疲れた。」

 歩き始めた王子を取り囲み、戦闘服を脱がせ始めた召使い達。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る