第24話 威力

 大砲の発射口より、眩く禍々しい力が放出される。それは、魔法陣をくぐり抜ける度に禍々しさと太さを増した。


 それは一直線に伸び、城魔獣の正にど真ん中へと吸い込まれた。

 そして、反対側に抜け尚も伸びる。


 不幸だったのは、山は自らの意志で逃げるられなかったということ。

 伸びて来た光が、山に同じサイズの穴を穿つ。


 しかし、山の不幸で事が終わらなかった。

 まだ、伸びる禍々しいものは雲に巨大な目を造り、更に天高く引きずった。



 ここで視点を変えてみよう。


 星の一角で、眩い光が生まれた。その光が城魔獣を、山を、雲を貫き宇宙の彼方へ伸び消えていく。



 大砲から放たれた光が消えた時、新型魔動人は数十メートル後退し、大地を削った溝は打ち込まれた杭の深さを表していた。


 巨大な爪を振り上げた姿勢で止まった城魔獣。

 しばらくし、ゆっくりと大地に伏した。

 流石の魔動人も立っていられない程の揺れと轟音、そして強風を伴いながら。



 全てが終わり、静寂が世界に戻る。


「これ程とは…。」

 ボソリと呟き辺りを確認する。

 銀の剣団は団長を始め全ての魔動人が地面へと伏していた。彼らが聞いたら怒る表現だか、相応しいのは魚市場の魚。銀色の体の輝きが見る者全てに連想させた。

「あの揺れで立っていられたのは、この新型魔動人だけか…。」

 改めて新型魔動人に感心し複素笑(ほくそえ)む王子…。


 突如、コックピットを満たしていた光が消失し、代わりに闇が満たす。

「な、何が?」

 訳も判らなければ、当然慌てる。そこへ、下から突き上げる衝撃が王子を襲う。幸いだったのは、まだ体を固定するベルトを外していなかったこと。


 直ぐに完全な暗闇ではないと気付くが、光量の急激な変化に目が追い付かない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る