第8話

一面に広がる白い砂浜を一歩一歩踏みしめて歩いていく。


目の前には輝く海が一面に広がり、不規則なリズムで心地良い鼓動を奏でている。


鼻歌交じりに波打ち際を歩いていたとき…何かが光った。俺の身長と同じくらいはあるだろう大きな岩が連なる岩の隙間だ。


何だろう?小走りに近づいてみると岩の隙間に何か挟まっている。お宝の匂いがして、すぐさま岩の隙間へと手を伸ばした。


あともうちょっと…めいいっぱい手を伸ばして、やっと指先が岩とは違う"何か"に触れる。


悪戦苦闘していると、偶然指先に"紐のようなモノ"がひっかかった。


今だ!!


指先を折り曲げ紐を指先に絡める。そしてそのまま離さないようにしっかりと拳を握り込み一気に腕を引き抜いた。


岩肌に腕を擦られながらも"お宝"を手に入れることに成功したのはいいが…


なんだこれ…?


手からぶら下がる"ソレ"は赤茶色の苔が生えたビー玉のようなものだった。


そのビー玉には錆びた金具が付いており、皮製の細い紐が伸びている。ペンダントのようだ。

紐を指先で擦ってみるとヌルリとした感触が指先に伝わった。


「うわっ、きったねぇー…」


薄汚れた"ビー玉のペンダント"を手から離そうとした時…


急に辺りが静かになった。


先程まで吹き荒れていた潮風も、終わることのない鼓動を奏でていた海も…急にその動きを止めたのだ。


俺はこのペンダントは拾ってはいけないモノだったのだと悟った。そう、これは"呪いのペンダント"なんだと。


"ボォーゥッ、ボォーゥッ"


遠くに聞こえた汽笛の音にハッと我に帰る。


…アレ?


吹き荒れる潮風。そして絶え間なく続く海の鼓動…



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