私の物語。
@yasu13
第1話
「もう、ダメだ……。」
深夜の空には数多もの星が輝いている。
私はその星空を見上げながら、橋の欄干に背中を預ける。
一台、また一台と目の前の道路を車が走っていく。
時折眩しいライトに目を瞑りながら、ただひたすらにその様子を眺めていた。
手元にはアルコールと、処方されている睡眠薬、安定剤。
既に多量の服薬と飲酒をしているその身体は重怠く、目も虚ろであった。
重力に逆らえずとうとう道路に座り込んでしばらくすると突然声がかかる。
「あの……、大丈夫ですか……?」
視線を上げると、スポーツウェアに身を包んだ男性がこちらを伺うように屈んでいる。
夜のジョギングでもしていたのであろうその人の顔には心配そうな表情が浮かんでいる。
「あはは、大丈夫ですよー? 家もすぐそこなんで……、ありがとうございます。」
自分でもわかるほど、貼り付いたような笑顔を浮かべ応える。
その様子はよほど不気味であったろう、男性もこちらの様子を気にしながらも立ち去っていった。
「はぁ……、なんで……、なんで出来ないんだろう……。」
重い身体をやっとの思いで起こし、再度橋の欄干に手をかける。
下を見下ろすと、約15m程の高さ、そして護岸用のコンクリートが見える。
先程から、何回も、何回も飛び降りようとしている。
だが、出来ない。
心はすっかりと疲弊し、日常的にも死ぬ事ばかり考えてしまっている。
まともな判断も出来ないようにしようと、多量の服薬、飲酒をしても、ダメだ。
自分の情けなさと死への恐怖、色々と入り混じった感情が込み上げてくる。
気付けば私は、大声で泣き叫んでいた。
その後、ほとんど記憶はないが、誰かが私の手をとって。
「大丈夫。大丈夫だから。」
という声が聞こえていたのだけは、かすかに覚えている。
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