第6話 鎮めぬ蜂

◇◆ 日本国 岐阜


この世界に存在する素晴らしき国々、そんな国々の中で最も良い国はどの日本でしょうか?……………そう、答えは日本ですね。


ではそんな素晴らしき日本国内で、一番お洒落で美しい素敵な岐阜はどの岐阜でしょうか?……………そう、答えは岐阜県です。


新皇が放つ瘴気で京都が日本の首都としては機能しなくなり、故に新たな首都として岐阜県…いいえ、岐阜都が選ばれたのは必然であり当然です。


堅牢な壁と星の結界に守られた日本国の首都。

此処には怪蟲と生命を蝕む瘴気は存在しません。


立ち並ぶ高層ビルと蒸気機関を原動力に動く工場群、そして蒼き稲妻の避雷針として日本中に散らばる電柱から常時、電力を徴収する発電所等、太陽なき常夜の国に燦然と輝く文明の光は、宛ら夜空の頂に君臨する金星の様です。


世界最高の都市岐阜、此処には『努力』『友情』『血統』『勝利』その全てがあります!!……無い場合は近くに名古屋があるのでそこで探せば多分あります。


そして現在、この日本国の中枢を担う場所はこの岐阜の岐阜城なのです。


かつては戦国時代に蚕魔テンマと呼ばれるサムライが配下を束ね拠点としていた城ですが、200年ほど前にその蚕魔が数人の仲間を連れて国抜けをして、それ以来そのまま廃棄されました。


本来の城主が消えて現在は、日本国の将軍たる天津が岐阜城に座しています。


天津に呼び出された蜘郎は、茶室で艶やかな舌触りの水饅頭を切り崩しつつ、やたらと自分の世話を焼きたがる若い侍女達の相手を適当にしていました。


侍女達に茶を飲ませてもらい、抱きつかれたりとお世話?をされながら蜘郎が暫く休息していると、この国の絶対的な盟主である天津が現れたので蜘郎は居住まいを正します。


「やぁ蜘郎、待たせてしまったかな?利理子嬢のお使いの後ですまないね」


洒落た黒いスーツを着込んで、藤色のコートを羽織る天津は、大人状態……本来の姿で長身の蜘郎より背が高く、目算で186cm、髪をオールバックに纏めて柔和な微笑みを崩さない美丈夫です。


しかし、目を引くのは天津のその眼光、彼の眼球は左右非対称の金と銀で、その瞳には瞳孔がなく…奥には暗黒の炎が揺らめいている。


天津を見る人間は彼から異質な威圧感を感じる事でしょう。


主が来たことで、侍女達は名残惜しそうに蜘郎から離れていきます。


蜘郎は面倒な彼是を省いて目の前に座る天津に用向きを尋ねます。


「それで……天津様、本日はどのようなご用件でしょうか?」


「私が天の頂へ立つために唯一神の居場所へと続く『方舟はこぶね』を利理子嬢と共に作成しているのは知っているな?……蝪雪の指名でね、お前にはその部品である『ネクロノミコン』の確保をしてもらいたい……蜘郎よ、頼めるな」


「天津様、少々言葉が足りないと感じます。…『ネクロノミコン』ですか?何故それが必要なのでしょう」


「ふむ、蜘郎よ……この世界はどのような形をしているかわかるか?」


「はぁ、それは地球……球体ではないでしょうか?」


「確かに……人が五感で感知できる範囲の情報ではそうだな」


天津はおもむろに立ち上がると、指揮者のように手を広げて説明を始める……蜘郎は黙って天津の話を聞きます。


「だがな、蜘郎それは間違いなのだ……世界とは一つではないのだよ」


天津は蜘郎の前で人差し指を立てると、その場で一回転して徐にコートとスーツを脱ぎ去り、上半身が裸となりました。


「…………天津様?」


天津はそのまま素晴らしい肉体美を見せつけるように様々なポーズをとる。


彼がポーズを変えるたびに後ろで控える侍女たちが箱型撮影機カメラでそれを撮影します。


パシャパシャとカメラのフラッシュで暫くの間、室内が照らされる……


「たとえば過去の選択によっては、蒸気機関が生まれない世界や、魔術が存在しない世界なんてものがあるかもしれない。人間自体が誕生しない世界というのもあり得る」


そのまま天津は襖を開けて、バク転をしながら庭に飛び出ると、天へと鉄扇を掲げる。


すると侍女たちが、ドヤ顔の天津に向けて拍手を送り、それを合図として何処からともなく紙吹雪が舞い踊ります。

侍女の誰かが「よっ、天津様、日本一!!」と言いました。


「……………」


「では……そんな無数にある世界『並行世界』と考えてくれ、今此処にいる自分自身以外に、他の世界に自分が存在していると思うか?」


そのまま天津は鉄扇をどこかに放り投げると、ズボンを脱ぎすてて白褌姿になりました。

そして機敏な動作で侍女たちと踊りながら茶室に戻る……その途中に信じられない速度で蜘郎の視界からフェードアウト。そしてそのまま消えます。


「はい?」


蜘郎は少し唖然としていましたが、すぐ背後から気配を感じて振り向きます。


「ふははっはぁはぁ……思うかい?」


背後には天津が蜘郎の非常に近くに居ました……凄く近いです。

蜘郎は驚愕して僅かに後退します。


「!?……分かりません!?」


「そうだ、人間は隣接する世界達と情報を共有しているわけではないからだ……理解できるか?……ふははは、ふははははは!蜘郎よ!」


天津は蜘郎に顔を近づけて、ニヤリと笑います。それに蜘郎は戦慄しました。


「い、いいえ…はい…」


「しかし、私は……我々は違う…人間とは…違う感覚…を持ち生きて…いる…のだよ…蜘郎よ……」


どんどんにじり寄る天津から蜘郎は必死に後退しますが……壁に追いつめられました。

そして天津は壁にドンと手を付けて……


「故にどうしても説明ができない事があるのだ、例えるなら大地を走る気高き獅子にも、光輝く星の視点は持つことが出来ないということだな…理解してくれたかい、蜘郎」


「りょ…りょうかいしました…天津様!!」


蜘郎は刹那の一瞬に『固有武装のうりょく』である銀糸を五指から放出して自身を繭で包むと、その中で大人形態から少年形態に移行して、天津をすり抜けます!!


そのまま追い詰められた猫のような、凄まじい瞬発力で茶室を脱出して庭の隅まで移動、その速度は光の如く疾い!!


天津は肩をすくめると指を鳴らします。すると、一瞬で服を纏いました。


「ふはははははは……まぁいい、蛟賀と明石大佐がロシアの首都で目ぼしい場所を見つけた。………その場所に特使として潜り込めるようにお膳立ては済ませたぞ。そこで……何が起こるのかは自分で感じたいだろう?……行けばわかるさ、楽しんでおいで」


そして岐阜城から世界中に響くのでは?…と思えるほどの、恐るべき魔王の哄笑が響き渡ります!!


「ふはっはっはっはっはっはっははははははははははははははははははははははははははははっはっごっほ…ごっほ…」




 ◇◆ ロシア シベリア流刑地 



政治犯等の流刑者達を大量に収監する牢獄、その地下にそれは存在しました。


『ネクロノミコン』その魔導書をまるで福音書のようにつらつらと読み上げる男がいます。彼はラスプーチンとかつては呼ばれていた元人間です。


このラスプーチンなる男は現在、生きた魔導書たるネクロノミコンが使役する傀儡です。

この魔導書は意志を持つ道具であり、今まで幾人もの人間を使い潰してきました。


何故そんなことをしてきたのか?…実は特に目的はありません。ただ、人間が呼吸するような感覚で、この本は魔力と生命力を吸い取ります。


そんなネクロノミコンから見ると、この流刑場はまさに最高の環境です。しかしその素晴らしい楽園に侵入者が現れました。


ネクロノミコンは自身のテリトリーに侵入してきた者を探知して、表紙に付いている一個の目玉をぐるりと一回転させます。これは人間でいうところの戸惑いの表現です。


そして、本のどこに発声器官が存在するのかは不明ですがネクロノミコンは存外可愛らしい声で独り言を呟きます。


「また侵入者なのか……今月で何度目なのだ?」


ネクロノミコンは少々勿体ないという気持ちでプールしていた囚人28人の生命力を奪い、魔法陣を展開します。

そして、その魔方陣の奥に存在する蠢く闇から四つ足の犬めいた獣を呼び出しました。


魔法陣から次々と出てくる獣たちは、順番に整列して、召喚者であるネクロノミネコンの前で行儀よく座ります。


獣たちは、よく躾けられた犬の様子で、命令される時を静かに待っているのです。


「……なな、はち、きゅう…これくらいでいいかな?…では、たのむのだ」


恐るべき獣たちが気体のように消える……彼らは人間には存在しない器官で獲物を捕捉します。

そして獲物を捉えた瞬間に、最速の速さで最短の距離を走り、その命を狩り取るのです。


「グルゥゥ……ガウ!!」


猟犬たちが消えるのを確認して、ネクロノミコンは表紙に付いている目玉を3回瞬きさせます。これは人間でいうところの伸びの動作です。


更に奴隷に自身の体をマッサージさせる。傍目にはページをめくっているようにしか見えないでしょうが、これが魔導書のマッサージです。その最中にネクロノミコンは再度、侵入者を探知しました。次は複数人です。


「………なになに?また侵入者なのだとぉ……この反応は…なにぃ聖騎士ぃ!?」


ネクロノミコンは表紙に付いている目玉を閉じます。これは諦めの表現です。


「………………はぁ、この場所も捨て時かなぁ」


仕方なく、多めに138人を生贄に捧げて強力なモンスターを召喚しました。そして此処から別の空間へとネクロノミコンを転移させる魔法陣の前に攻撃表示で配置します。


最早、現れた侵入者を追う必要はないのです。

なぜならネクロノミコン自身が逃亡する時間を稼げればいいのだから……


「こんな事態も一応は想定をしていたのだ……だからほかにも潜伏先は事前に準備してあるのだ……あまり関わりたくないが彼女に連絡するのだ……頑張って生き残るのだ!!」


ネクロノミコンは、自身を強いとは考えてはいない、先日来た者たちはおそらく偵察……では今回来たものは確実に此方を焚書できる戦力だろう。


ネクロノミコンは、表紙に付いている目玉を裏向けにした。これは焦りを表している。転移するためには、まだしばらく時間がかかるのだ。


ネクロノミコンは、お気に入りのヌイグルミだけ手に取ると急いでその場を離れた。


そのほぼ同時刻にネクロノミコンの隠れ家たるシベリア流刑地の地表では蜂郎が罪のない囚人達を収監する牢獄に押し入り、警護していた人間を蹴散らしながら監獄内で魔導書を探索していました。


その最中に突如……暗闇から不気味な奇声を轟かせて悪臭で出来たガス状の犬としか表現できない奇怪な生物が攻撃を仕掛けてきました!!


「ァァ…ヴァアアアアアアアアア!!」


生物の本能を腐らせるような奇声の衝撃と漂う表現不可能な悪臭、それを体験する人間は自身の正気を疑うでしょう……!!


「ぬ…犬か」


しかし蜂郎が重要なのは攻撃を受けた事のみです。なので謎生物にそれ以上は何を思う事なく、ただそれを天井に蹴り上げます。


「アアアヴァヴァ!?」


凄まじい圧力をかけられ犬めいた何かは、天井へぶつかる前に原型を留めることが出来なくなり四散しました。……だがしかし!!それで終わりではないのです!!


更に部屋の隅3方向から蜂郎に同種と思われる犬が攻撃を仕掛けます!!


「「「ガアアアアアアアア!!!」」」


「ぬぬ…またか」


蜂郎は刀を抜き、一拍一瞬一閃で3匹を同時に切り裂き、そして煙のように四散した犬を見送ることなく先に進もうとしますが……


「ヴァアアアアアアアア!!!」


突如、蜂郎の手に持つ刀から巨大な口を開いた犬が現れました!!蜂郎にも完全に予想外で犬にとっては最高の奇襲……!!


「……ぬぬぬぅ」


「ギャン!?」


しかし純粋な身体能力に差があるため、犬は普通に四肢と顎を胴体から5つに引き千切られると、止めとばかりに二十六年式拳銃をその銃身ごと胴体中心にねじり込まれて、猟犬は肉体を維持できなくなり消滅してしまいました。


蜂郎はこの執拗な攻撃は、何かを守っていると歴戦の感覚で理解します。……この厳重な警備は間違いないと、蜂郎はここに目的の物があると確信して嗤う……


「気配を感じるぞ…何かいるな。この向こうに…!!」


蜂郎は地面に亀裂が入るほどの踏込で、目的地だと判断した場所に対して一直線に突撃します!!


途中にある建物、怪物、檻、看守、囚人達はダンプカーに轢かれたネズミのように壊滅、あるいは死滅しました!!


蜂郎の気迫は、世が世紀末なら覇王足りえる物です!!


それでも重箱の隅をつつくようにあえて一つだけ残念な箇所を探すとすれば、ネクロノミコンとはまったく見当違いの方向へ突撃していることくらいでしょう。


一直線に進撃する蜂郎は施設の外に飛び出すと、近くの倉庫らしき建物を見敵、必殺するために施錠された扉を吹き飛ばしました。


「た、たすけて!!たすけてくれ!!……かまわないからぁ……」

「い、命だけは!!…私はどうなっても構わない……せめて…せめて、子供だけは…お慈悲を!!」

「パパー!!」


その建物には突如として監獄に現れた蜂郎ばけものから逃げて此処まで追い詰められた看守と囚人達が居ました。

奥の方では蝋燭に火をつけた老人が祈りをささげています


「おお、神よ、神よ…!なにとぞ、我らを悪魔から救ってください…なにとぞ、なにとぞ……」


哀れな看守と囚人達は、突如現れた鬼のような形相をした蜂郎に殺されてしまうのか?……この世界には正義はないのか!?……この世界は世紀末なのか!?


しかしその時!!……天空より現れし聖なる騎士が、看守と流刑者を救うため家屋を破壊して大地に降り立ちました!!


「……危ないぞ一般人共!!…ここは聖騎士に任せて消えなァ!!」


その白き聖騎士は手に構える巨大な漆黒の盾で、恐るべき蜂郎から民を守るために立ち塞がります!!


「チッ…人助けなんてガラじゃないぜ。ハハッ馬鹿なことしちまった…なぁ、お前もそう思うだろ…オイッ!!」


蜂郎を止めた聖騎士は悪態をつきますが、声音には弱者を思いやる人間らしさにあふれていました。

彼は『白夜十字団』と呼ばれる十字教団の精鋭の一人『絶対防御』の異名を持つアイブリンガー。彼の義憤に反応して装甲する魔装鎧から魔力が迸ります!!


「よお……オッサン、何をしてんだよぉ……頭ハジケてんのかぁ?そうだよなぁ…あ”あ”!!…しょうがねえなぁ……俺がスクラップにして組み立て直してやるよ!!」


彼は口は悪いが、誰より仲間思いで優しい男です。彼固有の魔術『絶対防御』による術式で強化された盾は火山の噴火さえ耐えきると噂されます。


なぜ彼がそれほどの力を手に入れたのか?それには理由があるのです……彼は元々貧しい生まれで、しかし兄弟を養うため人の何倍も努力して聖


「少し、静かに」


蜂郎は素早く自然な動作で、鎧の装甲ごとアイブリンガーの喉仏を引き千切り、その体を吹き飛ばしました。


「あが―――!?」


くしくもその先は、流刑場の死体処理施設という名のゴミ捨て場で、聖騎士アイブリンガーは他のゴミに埋もれて沈んでいきます。アイブリンガーは声にならない断末魔をあげました。


「……――!?」


その光景を目撃した……アイブリンガーに少し遅れて到着した『白夜十字団』の団員たち…


「アイブリンガァー!!!」


その総数は今まさに、埋もれたアイブリンガーを除いて聖騎士5体。『白夜十字団』は少数精鋭です。団員の実力はかの有名な『雷槍』コンダコフにすら匹敵すると噂されます。


その『白夜十字団』の団員たちは、怒りの声を轟かせる……!!


「アイブリンガァァァァァ!!!…なんて…ことを!?この劣等種が!!許さんぞ!!」


特に激しい怒りを抱いていたのは『銀剣』シリウスです。ヘルムの奥ではその端正な顔を憎悪で燃やしています。

黄金に輝く魔剣の斬撃で『白夜十字団』屈指の攻撃力を持つ彼は『絶対防御』とよくペアで任務に就いており……そして私生活においても無二の親友でした。

かつては犬猿の仲で喧嘩ばかりしていましたが、しかし幾つもの死線を共にすることで、強固な友情が芽生えたのです。

身にまとう精霊級魔装鎧『イフリート』からは銀色の魔力が迸ります!!


「許サン……覚悟シロ」


片言で話すのは労働者として移民してきたフレディー。被差別階級だが才能と努力だけで十字教団の聖騎士に任命され、そして『白夜十字団』へ入隊した実力者です。

仲間の仇を討つため、精霊級魔装鎧『ウェントス』の両腰から二つ名である『鉄拳』装着して拳を構えます。

更に彼が装甲する鎧の脚部にはある仕掛けが施されており、巨大な手甲はその切り札を隠すフェイントでもあるのです。


「ふん……弱者は死ぬ、それだけだ。そしてそのルールは貴様にも適応される……」


関心ないように振る舞いながら、しかし蜂郎へ油断なく剣を構えるのは副団長の『聖黒竜』アーノルド・フォン・ゼブラヴィッツ。

個人の武力では『白夜十字団』最強と呼ばれる実力者で、先祖由来である黒鋼色の神級魔装鎧『ジークフリード』は精霊種製の魔装鎧を超える性能を持つと噂されます。

クールに見えるが団長に185回告白して185回振られた情熱的な男でもあります!


「アハハハ!見るからに野蛮人ね!アハハハ!絶対いぃ許さないぃ!!!」


けたたましく狂笑する少女は『狂犬歯』アンジェリーナ。白い魔装鎧をなぜかピンクに染めた彼女はノコギリの様なフランベルジュを振り回します。

協調性は皆無だがその実力は副団長に次ぐ実力者で、かつて魔界から迷い込んだと言われる、炎を吐く巨大な蝗を切り殺したのは有名な武勇伝です。

彼女は人狼族であり、その戦闘能力は人類を凌駕します。彼女の識別不能で正体不明な魔装鎧『ベオウルフ』のヘルムからは唸り声が響く……


「皆、汚い言葉を使わないでね……落ち着きなさい…はぁ、少し予定が狂ったわ」


静かだが圧のある声で団員たちを一瞬でまとめたのは、『白夜十字団』団長の『聖天使』アテナ。

彼女の魔力総量は底が見えない……かつて単騎で悪魔の生き残りを屠り、更にこの若さで規格外のレベルⅥ魔導師に連なる凄まじき女傑です。

十字教団の歴史の中で二つ名に『聖天使』を名乗ることを許されたのはアテナただ一人……その実力は未知数です。


アテナはヘルムを外すと、蜂郎へ向けて姉の様に優しげに語りかけます。


「……お侍様……貴方のお名前をお聞かせくださいますか?」


ふわりとした金髪をたなびかせて両目をバイザーで覆うアテナは穏やかに名を問うた、しかし…その声音は嵐の前の静けさを思わせます。


「ぬう?蜂郎…鎮西蜂郎だ…」


「結構……墓標に刻む名を知りたいだけなので……討て」


アテナの号令。それに従い一斉に聖騎士達が蜂郎へ無慈悲な攻撃をする!!……より早く蜂郎は抜刀します。


「があっ!?」


蜂郎に斬られた聖騎士その1の首が宙を舞い、首から噴水のように血が撒き散らされて白い鎧を赤く染めると……


「シリウスッ!?……フレディー!!アンジェリーナ!!私に合わせろ!!」


それでも一瞬で動揺を鎮めた聖騎士たちの動きは流石の素早さで、乱れを見せぬ完璧な動作により最速かつ最適な行動を一瞬で実行します!!


しかし侍の動きは刹那の一瞬で、光すら追い抜いたかのような斬撃は、聖騎士その2の認識速度を超えて腹をパックリと切り裂くと、ボタボタと腹から吐瀉物のように内臓をぶちまけて呻きながら息絶える彼女を踏みつけて――――続けざまに蹴りを放つ聖騎士その3と呪文を放とうとした聖騎士その4の首から上を斬り飛ばしました。


……最初に切り裂いた聖騎士の胴体が倒れるころには、3人の聖騎士は血をまき散らして絶命、唯一無傷のアテナを残して『白夜十字団』は壊滅しました。


「ハァ…なんか呆気ないなぁ、時間稼ぎすら出来ないなんてねぇ…目をかけてあげたのに使えない子たちね。……それで、鎮西蜂郎さん。貴方はなぜ今この場所にいるのかしら?」


味方が全滅したにも関わらず、アテナは冷淡に仲間の死を受け流しました。

仲間の死などはどうでもよさげに金髪をいじりつつ蜂郎に対して気だるげに問いを投げます。


それに対してサムライであり、紳士でもある蜂郎は人狼族の再生能力で僅かに息を吹き返したアンジェリーナの頭をヘルムごと踏み砕きつつ素直に答えます。


「猫の実ネコン…?なる魔導書を大御巫である利理子様が必要としているのだ。おぬしは何か知らぬか?」


何かを思い出したような顔、あるいは問題児を指導する家庭教師みたいな顔をしたアテナは冷たく語りかけます。


「ネクロノミコンね……お間抜けさん、魔導書はこの監獄地表側にはありません……あれは現在、監獄の地下施設奥に有ります」


アテナは自身のヘルムを弄びつつ、雲が太陽を遮るタイミングで無色の魔法陣を地面へ展開させました……


「それから忠告してあげるわ……そのリリスという名前の悪魔は世界一の性悪美女よ。誑かされてるのか知らないけど、最後は貴方を裏切るわね。いいのよねぇ?」


「どうでもいい、己は姉さ…利理子様の望みを叶えるだけだ」


「ふふふ……あは♪あははッ!!……そっかそっか♪」


アテナは先ほどの凛とした雰囲気とは似つかない悪辣な笑みを浮かべます。

蜂郎はアテナの戯れ言を聞き流すと、静かに攻撃態勢に移行して音より早くアテナを横薙ぎに斬撃―――しかし、攻撃は突如現れた第三者に防がれます。


第三者……魔方陣から岩石で構成された巨人…巨神が召喚されました。


「ぬ?」


岩石の巨神が放つ拳の一撃!!―――それにより蜂郎は遠くに弾き飛ばされて…


「ぬぅ……」


蜂郎は空中で態勢を立て直すと、着地と同時に巨神へと再突撃!!それに対し岩石の巨神は狂った速度で接近するサムライへ巨大な質量弾を投げつける―――


「遅い……」


だが、蜂郎はそれを軽々と回避!!……せずに筋肉で弾き飛ばしました。

そのまま質量弾は弧を描いて遠くへと飛んでいき、何処かへと落下します。


「―――ぎゃあああああ!!」「パパ―――!!」


遠くで巨大な何かが墜ちた衝撃音。

その後に誰かの悲鳴が轟きます。それらをバックミュージックにして蜂郎は再び岩石の巨神と相対す。


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!』


目の前に岩石の巨神は声の代わりに大気を震わせる太鼓の様な咆哮で威圧!!……が、蜂郎はそれを無視して拳を撃ちこむ。


「破ぁ!!」


蜂郎の突きが岩石の巨神を抉り、その頑強な体にヒビを入れました。

それにより、僅かに態勢を崩す巨神……


「すごーい……馬鹿みたーい」


アテナは岩石の巨神と格闘する蜂郎を鑑賞しながら、悠々と背中の翼を展開して飛翔。そしてブーケを投げる花嫁のように自身のヘルムを蜂郎に投げて渡します。


「召喚術は術式の展開が遅いのがネックよねぇ…はっく…ごほん。んっ蜂郎さん。私は地下施設に行かせてもらうわね。追いつけるものなら追いついてみなさいな」


アテナはそのまま飛び去ります。


一方で蜂郎と相対する岩石の巨神は、徐々にその大きさが膨れ上がり……遂には目算で55メートルほどに達する。


大きくなるに従いより体つきも屈強に進化しています。

特にその両手は直立した姿勢でありながら地面に付くほど巨大で強靭です。


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!!』


そして、その腕を振り回し纏わりつく蜂郎を振りほどこうとします。……が蜂郎は攻撃を無効化して刹那で五月雨の様な斬撃を放ち巨神を切り刻みます!……が巨神は斬撃と打撃に対応する完全な耐性を持っています!!……が蜂郎は耐性そのものを破壊して強引に巨神へダメージを与え続けます!!!


「ハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチハチチハチハチハチハチハチハチハチハチィ!!」


『―――オオオオオオオオオオオオオオオォ!?』


体中を切り裂かれた巨神は、しかし無傷……攻撃の効き目が薄いのか……?


(攻撃自体は敵性の身体に損傷を与えている……自動再生能力だな。おそらくは地面…龍脈に類するものから永続的に何かしらの霊力エーテルを吸収し続けている……奴が地面と接している限り倒すのは時間がかかる……)


このままでは倒すのは時間がかかる。しかし蜂郎は、早々に戦いを終わらせなければいけません。


故に蜂郎はサムライの時間を始めます。


「ぬぅ、仕方ないか。見るがいい……己の『変態へんたい』!!」


蜂郎の体が紫電の嵐を帯びると、肉体の表面を紫の外骨格が覆い、そして徐々に人ならざる姿へと変質――そして嵐の中から全身を強靭な外骨格で覆う紫色のサムライが現れました!!


その黄色い眼光が発光して、外骨格の腰から藤色の刀が生成されます。


サムライの横一文字に固く閉じられたアギトを開くと、咆哮というよりは凝縮された暴風雨の様な衝撃破が巻き起り、それにより周囲にある施設のガラスがすべてはじけて粉砕されました。


「『変態へんたい』完了……来い」


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!』


岩石の巨神が対抗するように咆哮をあげます。


そして岩石の巨神は大地に自身の右足を打ち付けると、全体重と全パワーを込めた拳を放つために、大きな腕を振りかぶります。


鎮西蜂郎は避けない、なぜなら相手が力で勝負するなら此方も力で対抗するから……

蜂郎は刀を抜き、地面に突き刺すと、拳の骨を鳴らし迎え撃ちます……


「己が名は鎮西蜂郎だ。来い……」


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!』


そのまま巨神とサムライ、お互いの拳が激突しました!!


その威力は空気が爆ぜて周囲が振動し、木々は吹き飛び、建物は崩れるて消える。


踏み込んだ大地は地割れの様な亀裂が入り……そして


和背負いわっしょい!!」

『オオオオオオオォ…オオオォ!?』


――力の勝負は蜂郎が勝り…岩石の巨神は後ろによろめき倒れました。

その巨体で建物は潰れて瓦礫と砂埃が宙に舞い踊ります。


続けて蜂郎は追撃を開始します―――――巨神の足を右手で掴むと、そのまま、ジャイアントに振り回す。


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!?』


豪快な振り回しスイングは、凄まじき旋風を巻き起こします。その回転は、傍目には円盤のように見えるかもしれません。


蜂郎は遠心力をそのまま利用して岩石の巨神を彼方の空へ打ち上げました。


『オオオオオオオオオォ!?』


はるか彼方に飛ばされた巨神の姿が点の様に小さくなり、天に消えて行こうとします……が、その前にとどめを刺すべく蜂郎は真打の姿を開放する――


「『真打変態しんのへんたい』」


――真打変態、その発声と同時に紫電の嵐が蜂郎を中心に発生します。紫電の嵐の中で蜂郎の外骨格が凄まじく強靭にそして更に禍々しく変態していきます。特に右腕に比べて左腕は異形の強化が起り、異常なほど筋肉が発達して巨大になりました。それはもはや巨鬼の腕としか形容できない代物です。

そして、蜂郎の黄色い複眼が漆黒に染まることで変態が完了しました。その姿は破壊神です。


「『変態』完了」


蜂郎のアギトが開かれ蒸気めいたガスが噴出します。


更に続けて蜂郎は破壊神が握るに相応しいサムライの固有武装を具現化します。


「……武装展開のうりょくはつどう『銃王無塵』」


現れたのは身の丈を超える藤色の強弓です。その弦は光をすべて吸収するかのような圧倒的な黒色。


続いて蜂郎は左腕から、全てを滅ぼす様な破壊力の権化としか形容できない、名状しがたい長柄の何かを作り出すと、それを強弓につがえます……そして、ただ弓の弦を引く。それだけの事だが、その瞬間に世界から色が失われて白黒に変化します。


『――――――――――――――バジィジジジジジジジジジジジジジィ――――――――――――――』


破壊不能な物質を無理やり壊そうとすれば、確実にこれと同じ音色が聞こえるでしょう。


それはこの世の摂理に逆らうような冒涜的な調べ、観客は慄き奏者として君臨する破壊神に跪く……全ての者が彼の前では狩られるべき弱者となる。唯一無二の絶対なる強者、それが鎮西八郎為朝。


「南無阿弥陀仏」


八郎が威力無限の塵すら残さぬ宇宙最強の破壊力を解き放ち――――その瞬間と同時に距離と言う概念を破壊して岩石の巨神へ命中すると、その巨体を貫きました。


『オオ----------------------!!?』


凄まじき破壊の光閃は貫くものを平等に滅ぼす。

岩石の巨神は比喩表現ではなく真の意味で跡形もなくなりました、塵すら残りません。


「殲滅完了……『変態へんたい』解除」


蜂郎は勝利に浸ることなく、変態を解除……そして、脳波信号で愛機の名を呼びます。


『……黒王号よ』


蒸気機関特有の駆動音を鳴り響かせて出現したものそれは……


『世界最高の蒸気駒バイク。それは”黒王号”で間違いないだろう』


そう自己主張するように大柄な蜂郎が小さく見えるほどの超大型バイクが号令とともに現れました。

先端からマフラーまで流れるようなデザインは幻影のファントムシャドウを演出

その勇猛な漆黒のボディはまさに暗黒の百獣王、蜂郎は颯爽と蒸気駒” 黒王号”に跨る。


黒王号のメーター横には『仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌』と書かれたダイヤルが存在します……実は黒王号には八つの特殊機能があるのです……!!


蜂郎は颯爽とダイヤルを『礼』に合わせる……すると、蒸気駒の右脇のハッチが開き『蒸気圧縮冷凍機コキュートス』を利用した特殊機構……その名も冷蔵庫が現れました!!


これから少し遅いランチタイムです。


腹が減っては戦は出来ぬ。……常に自身のコンディションを最高な状態にする。冷静でクレバーな判断は流石サムライです!!


蜂郎は颯爽と冷蔵庫の中から名古屋で買い求めた『味噌カツサンド』と『サイダー』を取り出します。


「いただきます……」


蜂郎は味噌カツサンドを手に取ります。


味噌カツサンド……それは数年前の事です。


その当時は怪蟲狩人協会ハンターギルド東支部に所属する怪蟲ハンターとして活躍していた三護堂さんごどうりゅう


彼が政府から名指しの依頼で平賀源内が考案して開発した『エレキテルシステム』(この国を覆う瘴気から常に降り注ぐ雷を電力として利用するため、その雷を吸収する日本各地に設置された『避雷針柱』通称『電柱』とその電柱からケーブルを伝い電力を集めるために開発された『電気貯蔵基地』からなる総称)


その内の一つである三重県の『電気貯蔵基地』に巣食った蜘蛛型怪蟲カイジュウ『加密列』を討伐する為、仲間と共に其処へ向かいました。


出発してから数時間後、三護堂龍は目的地近くの廃村で移動用トラックを止めます。


「此処からは少し瘴気濃度が高くなる。怪蟲が出るな……蒸気鎧を装備して目的地まで徒歩で向かうとしよう」


三護堂龍は移動用トラックに積み込んだ軍払い下げの蒸気鎧マシンスーツ『ピクシー』を装甲すると小型内燃機関をグリップに埋め込み蒸気銃へと改造した愛用のウィンチェスターライフルを携えて電気貯蔵基地へ向かいます。


そして時は丑の刻……三重の電気貯蔵基地にて三護堂龍は仲間である大空飛鳥おおぞらあすか寅野洋二とらのようじのコンビ達と分かれて二手で基地内部を捜索します。


一人静かに暗闇の中を進む三護堂龍。暗闇の中には確実に怪蟲がいます……闇より蠢く蟲から奇襲攻撃を受ければ屈強な戦士であろうと一撃で命を奪われる……三護堂龍は内燃機関を停止させた蒸気鎧を纏いながら暗闇の中の怪蟲を探す……この狩りは先手を取った方が勝つ……


(……だから確実に蟲より先に俺が蟲を補足する。……そしてこの蒸気熱ポン刀を突き刺す…!!)


日中では凶悪な能力が更に研ぎ澄まされる『加密列』。しかし幸いなことに氷点下まで気温が下がる日本の夜では他の怪蟲と同様に弱体化します。


そして怪蟲達が暗視能力を持っている様に蒸気鎧のヘルムにもセンサーが内臓されています。

なので条件は対等だと三護堂龍が僅かに気を緩めた瞬間!!……それを狙い澄ましたように蜘蛛型の怪蟲『加密列』が背後から強襲してきました!!


「ギジジジィ――!!ギジィ―――!!」


だがしかし…それは三護堂龍が敢えて仕掛けた隙です。


「やぁ……いい夜だな。スパイダー!!」


攻撃を事前予測していた三護堂龍は、肩から取り外した外部装甲でその攻撃を斜めに弾きながら蒸気鎧の右腰に取り付けられた『リコイルスターター』のロープを引き、蒸気鎧の内燃機関を再稼働します。


そして『加密列』の右足を青白く白熱する蒸気熱刀で切り飛ばしました!!


「キシャアアア……!?」

「ふゥ…頭を狙ったんだがな…勘のいい奴…」


そして始まる、一人と一匹の命を懸けた激しい闘争ダンス!!


磁場を創る能力を持つ『加密列』には対怪蟲ライフルの銃弾すら通用しません。煤煙塗装ばいえんとそうでコーティングした蒸気鎧を纏っていなければ三護堂龍もその能力で直接押しつぶされていたでしょう……


互いに譲らぬ一進一退の攻防は十分近く続いて……だが、助太刀に現れた仲間の大空飛鳥と寅野洋二による見事なコンビ攻撃で『加密列』を追い詰めます!!……その一瞬の隙を突き、三護堂龍が至近距離で煤煙爆弾を炸裂させて、そのまま蒸気熱刀で『加密列』の胴体ごと頭を十字に切り飛ばしました!!


「ふん、他愛ないな。二人とも…怪我はないか?」

「大丈夫…洋二?」

「なんとかね、平気だよ…飛鳥ちゃん」


……そして激戦を終えて、「さて帰ろうか」と、三護堂龍が後ろを向いたその時に、


「ぐぎゃー!?」


彼は運悪く施設から漏れ出た電撃を受けてしまい、そのまま3日間、生死を彷徨います。

……その後なんとか一命を取り留めた三護堂龍はお見舞いに来たお母さんにこう言いました。


「宇宙のお月様でローグと会った。……セネガルのセレール族…彼らの秘宝である『味噌カツサンド』…それの創造の儀つくりかたをご伝授いただいた……」


こうして生れたのが『味噌カツサンド』です。


蜂郎はそれをたべます……作りたてが一番に美味しいが、しかし冷めても美味しい……それが味噌カツサンドです。


カツの歯ごたえと味噌の甘くジューシーな味わい!!


素晴らしき美味しさの味噌カツサンド!!雄大なるセネガルの息吹を感じます!!


……そして蜂郎は名古屋で購入したサイダーのふたを開けて、そして飲む!!サイダーのさわやかな甘みと爽快な炭酸でのどを潤します!!


だが、これで終わりではないのです……蜂郎は冷蔵庫の奥から颯爽と心太を取り出します!!

蜂郎はこれを喰らうべくバイクのダイヤルを『信』に合わせる。するとなんと!?……ハンドルから割箸が飛び出てきました!!


バイクのハンドルをお箸入れにすると言う前代未聞の天才的アイデア!!この蒸気駒の特殊機能を作成した南部中将は天才的である!!

蜂郎は黒蜜を入れると箸を使い颯爽と心太を食した!!


「御馳走様でした……」


お昼ご飯を食べた蜂郎はアテナの追跡を開始します。

残念ながらレーダーの類は容量の問題もあり黒王号には搭載できませんでした。……なので自力で探すほかありません。


「全速前進だ!!」


蜂郎は黒王号のアクセルを解き放つ。

幸いにも、先ほどまで監獄として存在した此処の土地はすべて戦闘により更地になっているので、アテナにはすぐに追いつくでしょう。









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