ドラゴンに転生してみた

ユウやん

プロローグ 転生、そして

 ここはどこだろう?

 体は動かない、視線だけは動かせるが何ができるわけではない。

 周りは辺り一面真っ白で何も無い。

 ふわふわと浮いている感覚が体を支配する。


「やっと起きたんだね。」


 目の前に白い靄のような物体が漂っている。

 なんだこれ?


「おーい、僕の声聞こえてる?って、返事できないんだったね。」


 何を言ってるんだろう?と思ったが声も出ないことに今気づいた。


「ちょっと待ってね、それだと不便だから少し直してあげる。」


 そう聞こえたとたん喉の部分に違和感が。


「これで声が出るはず。しゃべってみて。」

「あー…」


 言われた通りに喉を震わせ声を出した。


「うん、ばっちりだね。」

「ありがとうと言っておけばいいのかな?」

「そうだね、感謝は大事だ。」


 靄は嬉しそうに上下に動いている。


「さて、まずは君の状況がどうなっているか教えるとしよう。」

「そうしてもらえるとたすかるかな?」

「なんで疑問形?まぁいいや。さて、この先話す内容は君にとってすごくショックな内容だけど覚悟はいい?」

「ここが何処かも分からないから覚悟もどうも無いんだが。」

「分かった、ではまず初めに君は死んだんだ。」


 死んだ。

 その言葉の重さに一瞬気が遠くなった。


「やっぱりショックだよね。うん、誰もがここに来たらそうゆう反応をするのは仕方ない。」

「どうして死んだか教えてもらってもいいか?」

「あれ?覚えてないのかい?」


 目線だけで頷くジェスチャーをする。


「そっか。きっと死ぬ瞬間の衝撃で記憶が曖昧なんだね。」

「どうゆうこと?」

「君は転がって道路に出たボールを追いかけて飛び出した女の子を救う為に飛び出してトラックに轢かれて死んだんだよ。」

「……その助けた女の子はどうなった?」

「幸いかすり傷程度で済んだよ。トラックの運転手も君を引いた後、電柱にぶつかったけど軽く頭を打っただけで健康だよ。ただ、トラックの運転手は君を轢いたって言う罪の重さに耐えられるかどうかは問題だけどね。」

「そっか、どっちも無事だったんだ。」


 これで助けた女の子が死んでいたら命を捨ててまで救った意味が無く絶望に顔を曇らせていただろう。


「そうなるとここは死後の世界なのか?」

「当たりであり外れだ。ここは狭間の世界、輪廻の輪から少しずれたところにある世界だよ。」


 ん?何を言っているんだ?

 仏教とかそういう類の物には興味ないが、死んだら死後の世界に行くはずでは?

 さすがにそれぐらいは知っている。


「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は神に近い存在、見習い神様とでも言っておこう。」

「見習い神様?」

「そう、見習い神様。で、君みたく若くして死んだ魂をもう一度零から人生をやりなしさせてあげる事をしているんだよ。」

「どうゆうことです?」

「簡単に言うと、今ほかの世界で人材不足で困ってるところがあるんだよ。でだ、君ような存在の魂をそちらの世界に移してもう一度人生をやり直させるチャンスをあたえているのだよ。」

「チャンスですか。」

「そう、ただね。魂を無理やりほかの世界の輪廻に移すからまた死んだら魂ごと消滅するんだよね。」


 それってかなり危険なのでは?


「仕方ないね、本来あるべき輪廻の輪から外れる事だし無理やり別の輪に入れるって事はその輪廻にとってはエラー的存在、排除の対象になるわけだ。結果死んだら消滅してしまうってことだ。」

「それだけ聞くとやばい案件なんだが。」

「そうだね、ブラック企業まっしぐらだね。」


 笑っているのか小刻みに揺れている。


「まぁ、タダで行かせる訳じゃないよ。君が望むものをひとつだけ叶えてあげる。」

「代償の等価交換って事か。」

「そう、君以外にもその世界に飛ばした人達はいたけどみんなさまざまなものを要求してきたよ。」

「例えば?」

「一生お金に困らないほどの大金がほしいとか、不老の体が欲しいとかさまざまだよ。さすがに不死は却下したけどね。」


 不老はよくて不死は駄目ってどうなってるんだろう?


「いやなら元の輪廻に戻して再度同じ世界で生活する事もできるよ。」

「そうなのか?」

「強制じゃないからね。ただ、飛ばす先は異世界。君ファンタジー物の小説とか読んだことある?」

「好きだったから読んだ事はあるよ。」

「なら話が早い。君が承諾してくれれば魔法も幻想生物もいる世界に行けるチャンスなんだ。」

「なんでそれを早く言わない!」


 体が動くなら掴みかかる程の勢いで食いついた。


「どうやら答えを聞くまでも無いみたいだね。」

「あぁ、提案を受ける。で、願いなんだが……」


 先ほどの話しを聞いて思いついた願いを言ってみる。


「ふふ…あははは!良いね、面白い!」

「どうだろうか?」

「良いよ、許可しよう。そうだ、面白い提案をしてくれた御礼に僕から少しサービスをしよう。」

「さすがにそれは……」

「気にしないでくれ。何人も送り出してきたがこんな面白い提案をしたのは君が始めてだからね。」


 たぶん誰でも思いつきそうな願いだと思うんだが、そうでもないのかな?


「君の願いは承認された!さぁ、異世界の世界の門は開かれる!冒険の時間だ!」


 うお!いきなり大声で叫ぶもんだから驚いた。


「最後に、簡単に死ぬなよ。もうやり直せないんだからな。」

「分かってるって。」

「そっか、それじゃ行きたまえ。魔法と剣と幻想てきな異世界に!」


 こうして、高校生だったおれ木崎 蓮は新たな人生をスタートした。

 そう……

 ……

 …


「見てアナタ、元気な男の子が生まれたわ。」

「おぉ、立派な羽に綺麗な鱗。まさしく俺たちの子供だな。」


 ドラゴンとして新たに人生を再スタートしたのだった。

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ドラゴンに転生してみた ユウやん @yuuyann

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