私の嫁は変わり者

買い物

今日は火曜日、嫁がドラッグストアで日用品を買ってくる唯一の曜日である。

毎週決まった物なら、なんとか忘れずに買ってくるようにそっと教育したのだ。

嫁は忘れっぽい、というかほぼ忘れる。

必要な物を把握し、スパーやドラッグストアで日用品を買うのが苦手なのである。

買う物を紙に書いておいても、その紙を忘れて出かけるか、鞄の中でその紙を紛失するか、店に寄ってくることそのものを忘れるのだ。

わたしはいつも家の中をチェックし、必要な物を把握し、帰るルートから各曜日に寄ってこれる店を考えている。

正直負担は大きい。嫁にも少し負担してほしい。そこで考えたのは、決まった曜日に決まった店で決まった物を買うようにインプットする作戦だった。

インプットできれば（習慣づければ）買い物もできるはずだ。

無事に成功。

火曜日にドラッグストアで決まった物を買ってくるインプットができたのだ。

それから約半年。

嫁は毎週火曜日にドラッグストアに寄って帰ってくる。

順調だ。

『そろそろ決まったもの以外も頼めるのではないか、小さくて簡単な物なら』

そう期待した私。

「猫のおやつと入浴剤買ってきて」

そう頼んだ。

殆ど全ての日用品を買ってきている私が、唯一ほんの少し嫁に期待した日、

それが火曜日。

嫁がドラッグストアの袋を持って帰ってきた。

中にはいつもの物と、嫁が飲みたいジュース。

「あれ、猫のおやつは？」

「忘れた」

「入浴剤は？」

「忘れた」

『あらら……だめだったか、火曜日だけなのにな』

少しだけでいい、買い物を休んで安心したい。

あーこれからも、レジ袋を両手に持ち、トイレットペーパーとティッシュペーパーを抱えて帰宅する日常が続く。

ても、今日。

嫁が関節にいいと言われているハト麦茶を煮だしてくれた。

関節痛持ちの私のために……

嫁の自発的な行動であった。

ハトムギ茶は関節だけでなく、わたしの心にも、じわじわと効き始めている。

やっぱり自発的に何かをしてもらえるって嬉しい。

優しさが伝わるから……

正直言うと。

今の買い物生活、そんなに悪い日常ではない。

買う物はなかなか覚えてくれないが、違うことを嫁はちゃんと覚えてくれているから。

それに、やっぱり嫁が好きだから。