第40話 『林間学校』
小学校5年か6年生の時代、まだ、大阪万博もやってきてない頃、当時、やましんは、大都市部の、ブレザーのモダンな制服は、一応はあったけど、入学式以外では着たこともなく、いつも私服でOKで、戦後の新しい個人主義教育実践中で、集団登下校もない地域の学校から、とつぜん、いつも、がっちり学生服(夏は、まあ、ちがうな・・)で、帽子は、兵隊さん風味。まだ、軍歌を運動会で使っていた(歌詞はいささか違っていたと思います。実際、これは、かなり、びっくりしました。)地域の学校に転校して、カルチャーショックと生徒と先生両方からのいじめで、今でいえば、すっかり、うつぎみで、まいってしまっていた時代、強制的に(ま、これは、普通そうですよね・・・)林間学校に参加いたしました。
この林間学校は、特徴として、孔子の『論語』を、みっちり教えるのですが(いまもやってるようです。)、こいつは、まったく未知(しゃれです・・・)の分野で、いまなら、失う地位も昇進も、もうないので、先生を、いやな質問責めにしそうな、嫌われものの、やましんですが、(うそ、そんなこと、いたしません。)当時は、人前では、ほとんど口もきけない、大人しい子でしたから、これは、まあ、なかなかの、骨折りでした。
実際、漢文を習ったことのない小学生には、ちょと、難しい。
でも、戦前の子供は、そうしたお勉強を、していたわけですな。
むかしの子供は、すごいといえば、確かに、すごい。
戦前の、教科書、なかなか、漢字が多くて、読めないですよ。
それは、さておき、さて、夜になれば、キャンプファイアーを、当然したわけですが、その最後に、キャンプの定番『星かげさやかに』を歌う訳です。
このおうたは、『論語』とちがて、やましん大好きで、しかも、お歌を歌うのは、唯一の得意分野。
美しい(自分で言うな!)ボーイ・ソプラノだったやましんの、腕の見せ所なわけです。
ところが、みなさま、歌詞を思い出せますか?
『星かげ さやかに しずかに ふけぬ
つどいの 喜び 歌うは 楽し』
楽譜を見れば、『フランス民謡』『作詞者不詳』 となっております。
ネットで見ると、いまも、そうなています。
ときに、この歌詞には、どうも、異版があります。
『歌うは 楽し』
というのと・・・・・
『歌うは うれし』 というのと。
そこで、事前の授業で、林間学校では、手持ちの楽譜とは違って、『うたうは うれし~~~~~』と歌うから、ぜ~~~ったい、まちがうなあ!! と、怖い先生から、なんども、念押しされたのです。
で、当日・・・・・・
頭は悪いが、自分を救うための勘は、なかなか鋭いところがあったやましん(自分で言うな!)。
お日様が傾き、夕方も迫る中、どうも、林間学校の先生が、『うたうは 楽し~~~~』とか、頭の中でか、ちいさい声でか、そこは、覚えてないけど、とにかく、そう、口ずさんでいるか、あるいは意識しているか、メモを盗み見したか、なんとなく、察知!
例の、担任の先生(実は、当時、地域では、かなり、名高い、りっぱな方だったようなんです。)に、非常に怖いけど、これは、確認しなければならぬ、と思い、『あの~~先生。楽しい~~~~じゃなくて、うれし~~~と、歌うんですね!?』と、わざわざ、言いに行ったのです。
『あんたと言う子は、も~~~!! そんなこと、聞きに来て!!』
と、ぶっちぎり、叱られました。
やましんは、真っ青で、逃げだしました。
うしろで、となりのクラスの先生と二人で、大笑いしているのが、わかりました。これは、事実。
『もう、あの子は、こまった子、なんですよお~~!』
とか、わざと聞こえるように(これは、やましんの妄想かも。)言て、います。
まあ、困った、先生方だ。(こいつは、やましんの、感想。)
そうして、本番。
ゲームとか、飯盒炊さんとか(うまく、たけてなくて、しんばっかりで、すっごく、まずかった! 兵隊さんとか、こんなまずいモノ食べてたのかあ・・・とか、思った。実際は、もっとひどかったらしいです。)、遊んで食べて、ついに、最後、あのお歌がやってきました。
もちろん、子供たちも、先生も、事前の、お約束通りに、歌います。
しかし、マイクを握った、林間学校の先生は、しっかり、絶対歌うなあ! と、みっちり言われた、あの、歌詞で、しっかり、お歌いになりました。
当然、生徒側は、あぜん。
おうたは、びたっと、止まってしまう。
いささか、不意をつかれた感じになった、林間学校側の先生ですが、まあ、そこは、むりやりでも、マイク握ってる先生は、そのまま、混乱のなか、先に行きます。
「ふん! みたか!」
と、やましん。(言いませんよ。心の中だけ、なのだ! でも、あの光景は、しっかり、おぼえてます。実に、愉快でした。)
その後、林間学校終了後も、先生からのコメントは、一切、頂きませんでした。(あたりまえだろ!)
まあ、せっかく、よい、情報を入れてあげたのに、残念でした。
あ、先生! 現在も、まだ、やましんは、謝罪、受付中ですよ!
いまなら、まだ、間に合います。
そんなんだから、嫌われるんだろ!
だれも、覚えてないぞ!
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くたばれ、やましん!
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