ファーストコンタクト【体育祭前】
「二年の田端だったな。お前…その髪の色、化粧全てが校則違反だぞ」
ヒロインちゃんのイベントを無意識に妨害中のモブ姉・田端あやめです。
体育祭の1000メートルリレーのバトンパス練習をしているんだけど、攻略対象の風紀副委員長に睨まれてるなう。
私は斜め45度を見上げてすっとぼけておいた。
知らぬ。
私はイメチェンをしたのだ。これは私の鎧。私のポリシーなのだ。
絶対に戻さぬ。
聞こえないふりを続けていた私だけど、ちらりと風紀副委員長の顔を確認するとすごいしかめっ面になっていた。
あっやべぇ今、副委員長の眉間のシワが一つ増えたのが見えちゃった。
…仕方がないなぁ、特別にいいことを教えてやろう。
「風紀副委員長様、うちのクラスに転入生が来たんですよ」
「…? それが何だ」
「その子が超美少女なんですよ! 紹介しますからここは一つそれで手を打ちませんか?」
「打たん。賄賂のつもりか」
ダメだった。
真面目風紀副委員長にはこの手は効かないか。
でもきっとヒロインちゃんを見た瞬間フォーリンラブするに違いないんだけどなぁ。
「すんごい美少女なのになぁ…だめか…」
「地毛の生徒以外の明るい髪の色は禁止。傷跡や痣など特別な事情のない生徒の化粧禁止。そう生徒手帳に書いてあるだろう。明日までに戻してこい」
「嫌です!」
「………」
むっちゃ怒られた。
バトンパス練習のはずなのに運動場の中心で風紀指導ついでに説教された。
服装違反が説教で済むのはここが公立校だから。私立だったら親呼び出しとか、力ずくで直すとかあるらしいね。
最も今はそういう体罰じみたことは減っているみたいだけど。
ほらほら一年が手持ち無沙汰気味にこっち伺ってるよ。
1000メートルリレーは花形種目なんだから練習しようぜ副委員長。
「風紀副委員長さまーバトンパス練習しましょうよ」
「誰のせいだと思ってる誰の」
「私が髪を染めようと化粧しようと誰も損しないでしょーもう少し寛容に生きましょうよ」
宥めたつもりなんだけど、私はその日から風紀副委員長に目をつけられることになった。
だけど私は意地でも戻さんからな!
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