第60話 魔石
洞窟は意外と浅く、人が三人横になれる位の広さがある。
その洞窟の中まで血の後は続いていた。
士月が先頭に立ち、そっと洞窟の中を伺う。
「誰もいない様ですが、族長様の仰る通り魔方陣のようなものが地面に描かれているようです」
洞窟の地面には、動物の血で描かれてと思われる魔方陣がある。
レオンが魔方陣に近付き、手を翳す。
「……魔力は感じない、今は作動してないみたいだな」
その言葉を聞いて私も魔方陣を覗き込む。
その魔方陣はゲームの画面で見たものと似ている気がした。
模様を完全に暗記した訳じゃないから、違ってたとしても分からないけど…。
「アザミ殿、あまり近付かない方がいい」
クラウドに言われて魔方陣から離れる。その瞬間何か固いものを踏んだ気がして足をどけて見ると、ビー玉のような赤い魔石があった。
拾い上げてみると表面に土がこびりついて、くすんでいる。
「クラウド様、これは…クラルテ国で採れる魔石ではありませんか?」
魔石を見せると、クラウドは眉を寄せる。
「魔石?」
レオンも気になったのか魔方陣から離れて私の手を覗き込む。
「これはかなり質のいい物だな、純度が高い魔石だ。だがここまでくすんでいてはほぼ魔力は残っていないだろう。レオン、どうだ?」
「………クラウドの言うとおりだな
魔力は少しも残ってない」
魔石も気になるんだけど、二人が呼び捨てで呼びあってることも気になります!
仲良し?仲良しなの?
………はっ!友情を越えた特別な関係ってやつですか!
くううぅっ……大丈夫、それでも私は萌えます!!
二人の間に何があったんですか!!
真剣な二人によからぬことを考えてしまうけれど、仕方ない。
仲がいいのを見せつけてくる二人が悪い。
「この魔石を使って魔方陣を起動させたってことだろうな…」
「あぁ、これ程の純度のものなら手に入れられる人物も絞れるだろう」
「そんなに高価なものなのか?」
「純度が高いからな…、貴族以上でなければ手にいれることは出来ない代物だ」
それを聞いたレオンがマジマジと魔石を眺める。
「…これを売った記録とかがあれば買った人を絞り込めたり出来ませんかね?」
私の言葉にクラウドは腕を組んで唸る。
「…これだけの純度が高いものは出回っている数も少ない…けれどクラルテ国内だけではなく東の国にも販売しているから、範囲は広いんだ。絞り混むのは難しいかもしれない」
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